≪考察≫ インボイス制度の最大の被害者は「常用」

 

投稿者:トラさん  

 

私は税理士をしておりますが、インボイスの最大の被害者は建築業界における所謂「常用」と呼ばれる作業員だと感じております。 

 

「常用」とは、ざっくり言うと特定の会社に月曜日から金曜日(9時~17時)は、うちの会社を手伝ってねと言う形態の作業員です。

 

この形態は、水道工事、防災設備工事や電気工事などの建物をたてる派生の工事業種の中小会社が採用しているケースが見受けられます。

 

作業員の身分としては、下請けの個人事業主ということになります。

 

何故、この様な形態があるかというと会社としての動機は3点あります。

 

1.従業員にすると社会保険も半分負担しなくてはならなくなる。

 

2.従業員にすると業績悪化の際でも解雇が困難。

 

3.インボイス導入前だったので、作業員の報酬の10%相当(厳密には10%/110%)を会社が支払うべき消費税から控除できる。

 

 

働き方としては、一つの会社の現場に月曜日から金曜日(9時~17時)まで働いており,

従業員と変わらないのに、社会保険にも入って貰えず、会社が業績悪化の際は週2日作業などにされ報酬も40%とかにされます。

 

我が国においては、未だ契約書を交わさず取引(雇用や委任)をすることが多く、常用の作業員も入社したつもりだったけど、気づいたら会社から2月位に確定申告に行っときやと言われる事もある始末です。

 

当然、簿記の知識も乏しい方がほとんどなので所得税の青色申告控除55万円を取れる人も少ないです。

 

私の主張といたしましては、インボイスを適用する前に、「常用」の作業員も派遣労働者が5年働くと正規採用の権利が生まれる様に、正規雇用の権利が発生するような法律の制定を願います。

 

 

 

(管理人カレーせんべいのコメント)  

 

税理士をされているトラさん、投稿、ありがとうございます!!

 

知らないことを教えてくださり、すごく有り難いです。

 

 

「労働者の権利を守れ!」

 

 

と言うと、左翼か労組じゃないかと受け取られる可能性がありますが、そうではない。

 

少子化問題にも繋がる話であり、つまりは国家に通じる話だと考えます。

 

 

労働者は工具や部品ではありません。

 

家に帰れば父ちゃん、母ちゃんであり、じいちゃん、ばあちゃんを支える戦士なんです。

 

あるいは未来の戦士なんです。

 

令和の時代になっても「蟹工船」をやっているようでは、この国に先は無いと思っています。

 

 

 

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10月31日:≪考察≫ インボイス制度と無慈悲な無関心

 

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コメント: 5
  • #5

    トラ (木曜日, 10 11月 2022 22:56)

    カレーせんべい様
    お取り上げ下さいまして、誠にありがとうございました。
    初めて投稿させて頂きました。
    周りの人とお話をすると、サラリーマンの社会保険料半分を会社が負担する事も常識ではないかもと気付きました。
    その上で再度見直してみますと会計や税金にお詳しくない方にも伝える文章としては説明不足だったのではないかと反省しております。
    懲りずに、また掲載をお願いするかも知れませんが、
    その折は、何卒宜しくお願い申し上げます。

  • #4

    さとがえる (月曜日, 07 11月 2022 20:03)

    自分は建設でも土木関係が主なので、常用の言葉は知りませんでした…
    個人事業主の呼び方で「一人親方」の言葉を知っておりました。
    当方の知る限り建設業界でも賃金上昇や、材料費高騰の補填は求められておりますが、常用(個人事業主)のインボイス対応までは知りませんでした…
    これからは個人事業主は会社雇用の方に比べて消費税分多く支払いがないといけないという事でしょうか。只でさえ雇用調整で個人事業主で契約されている場合もあるのに益々厳しくなりますね…
    建設業界の担い手が足りないと言われている中、給料は最低限確保するべきと思います。
    賃金上昇の流れの中、インボイス踏まえた支払いになるか注目いたします。

  • #3

    はな丸 (月曜日, 07 11月 2022 08:27)

    経理には全く疎い人間ですが、こちらの記事をきっかけに最近付け焼き刃の勉強をして、ほんの少しですがインボイス制度の理解が進んだ気がします。ありがとうございます。

    たしかに声優やタクシー運転手さんなど零細事業者には死活問題となり得ますね。
    メディアがもっと扱うべきですが・・・なかなか世間の耳目を集めにくそうなテーマですよね。多少メディアが取り上げたところで、私のような人間が関心を簡単に向けてくれるとは思えません。

  • #2

    sparky (日曜日, 06 11月 2022 23:20)

    多くの法律・制度が複雑に関連し合っている中で、財務省に都合の良い(税収UP)改革だけを行えばその歪みが多くの納税者に現れるという事ですね。無駄に思えても納税者の声を届けるしかないのでしょう。

  • #1

    佐々木 (日曜日, 06 11月 2022 19:27)

    「労働者は工具や部品ではありません。」

    カレーせんべいさんの仰る通りです。
    でも世の中って労働者なんていないように捉えてる節を感じます。
    マスメディアが経済を語るときに使う「消費者」は
    イコール「労働者」の筈なのに、なんか切り離してるように感じて違和感を覚えます。

    グローバル経済を主張してるせいか、消費者は日本国外にいるという
    認識なんでしょうか。
    「銭」が人間の生活や行動に必須である以上、永遠に付きまとう問題だと思います。