英彦山神宮と昆虫採集

英彦山神宮と昆虫採集


 ゴー宣トラベル

 

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【 第15回 】

 

英彦山神宮と昆虫採集

撮影者:ハックスレーさん

撮影日:2020年8月28日

 

8月末、毎年恒例の昆虫採集で英彦山へ。
英彦山にはキュウシュウエゾゼミLyristes kyushyuensisと呼ばれる希少なセミが生息しております。
本種の分布は局所的で日本固有種。

高さ20メートルを超える針葉樹の木末でギィ〜〜と鳴いており、採集難易度は極難、毎年採集に出かけてますが、今年やっと木末で鳴く姿を見たきりです。

 

本種の鳴き声がよく聞こえる英彦山神宮を目指して、車で1時間半かけて運転、スロープカー乗り場へ。
切符を買い、乗り込みます。
ここでもソーシャルディスタンス、マスク必須、徹底した消毒。

 

7分かけて英彦山神宮へ到着。
気温は20度、池にはニジマスと錦鯉。
あ、聞こえる、上からギィ〜〜の鳴き声。
しかし、鳴いている位置が高すぎ。
持っている捕虫網の長さはたったの7.2メートル!
また今回も断念するしかない!

 

 

 

しばらく休憩して、スロープカーに乗って下山、乗り場付近のクヌギ林へ。


樹液にはゴマダラチョウHestina persimilis japonica、スミナガシDichorragia nesimachus、オオムラサキSasakia charondaが集まる。
まさに森のレストラン。

 

公衆便所の明かりをチェック。
コロギスProsopogryllacris japonicaが壁にへばりついている。
手で捕まえると噛み付かれて流血。
本種は翅に発音器官を持たず、脚で葉を叩いて音を出す、タッピングと呼ばれる行動をとります。
夜行性で昼間は口から糸を吐き、葉を綴って眠っています。
家に連れて帰り飼育中です。
また元気に活動しています。



コメント: 2
  • #2

    ハックスレー (日曜日, 01 11月 2020 18:51)

    私ナビィさん、コメントありがとうございます。
    大自然に囲まれた英彦山神宮は、私の中では究極の避暑地、日常の喧騒から逃れられる場所でもあります。 
    キュウシュウエゾゼミ、中胸背が黒地で黄色のW紋が入り、実に美しいセミです。
    飛翔能力は低く、長距離は飛翔しません。
    幼虫は樹木の5〜8メートルの高さで羽化をします。
    この標本は標本商から購入しました。 
    価格は5980円、大分県九重連山が採集地です。

    特大の蝶、アゲハだけではなく、オオムラサキを代表とするタテハチョウ科にも多く見られます。
    今回、紹介したオオムラサキ、スミナガシ、ゴマダラチョウは花には飛来せず、樹液や腐果に獣糞などに飛来します。
    飛翔能力が高く、中でもスミナガシは飛翔速度が敏捷です。
    チョウの飛行速度は種類によって異なり、判明したものは、以下の通りです。
    オオカバマダラ:時速50km(追い風を利用した場合)。
    ウスキシロチョウ:時速30km程度。
    ワタリオオキチョウ:時速50km。
    イチモンジセセリ:時速14~58km(羽化当日)、約100分間で100km飛行可能。
    アサギマダラ:時速50km。 
    飛翔速度の資料はとても少ないです。

    コロギス、この珍妙な虫は夜行性で肉食です。 
    夜行性の肉食の昆虫は長い触角を持っています。
    コロギスは夜間に樹上や地表をペタペタ移動し、他の昆虫や樹液などを舐めます。
    その移動速度はとても早く、素手では容易に捕らえられません。
    逆に跳躍はあまり行いません。
    さらに捕獲しようとすると、翅を広げ、大顎を剥き出しにして威嚇し、噛みつこうとしてくる獰猛な昆虫です。
    最近の研究では、コロギスは山地性と平地性に分かれるみたいです。

    山口進さんは僕らの界隈では有名です。
    最近では「万葉と令和をつなぐアキアカネ」という著書を出してます。
    赤トンボ(アキアカネ)が絶滅の危機にあると言われており、その一方で毎年大発生している所もあるそうで、山口氏はその謎を解くため、新潟県に米作りの達人を訪ねるお話しです。

  • #1

    和ナビィ (日曜日, 01 11月 2020 09:54)

    「キュウシュウエゾゼミ」---日本の北端と南端が合体したような名前。金色?の模様と黒、何と豪華なデザインでしょう。なんかこのまま彫金のブローチみたいです。

     緑深く美しい場所ですね。そして珍しい昆虫の宝の山。揚羽ではなさそうなのに掌大の蝶もいるんですね。そして「コロギス」という名の昆虫の姿にもビックリ!。体長の二倍以上ありそうな触覚、なんでこんなに長いんでしょう;。

     そうそう、FLASH(11/10・17号)の辻説法の直前の記事「昆虫をひとりで42年撮り続けた男・山口進」をとてもおもしろく見ました。昆虫のデザイン?って胸騒ぎするような奇抜さ不思議さがありますね。