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FLASH2020年1月7・14日合併号 説法三十六「日本人を呪わば穴二つ」 

日本人を呪わば穴二つ


 

タッチ&ゴー

《参加者》

し:しんちゃん

皿:皿うどん

ド:ドルジェ

た:たっちゃん

カ:カレーせんべい

 

《収録日》

20191226

 

FLASH2020年1月7・14日合併号

『よしりん辻説法』説法三十六

 

日本人を呪わば穴二つ 

  

カ:FLASH『よしりん辻説法』説法三十六「日本人を呪わば穴二つ」について語り合いましょう。皿うどんさんは感想いかがですか?

 

皿:僕はバスケットボールについては全く知らなかったんですけど、八村塁が出てきて、ニュースや、よしりん先生がブログやライジングで取り上げてるのを見て興味を持ちました。

 

カ:なるほど。

 

皿:コーチの人の話はニュースでも聞いてたんですけど、英語が全然できなかったという話は初めて知りました。そして「お前はアジア人だ、日本人だ」という風に外国で言われていた話は興味深かったです。

 

カ:今回のよしりん辻説法を読んで、初めて知る話も多かったわけですね。

 

皿:「人種」についても描いてありましたね。熊襲とか隼人とかアイヌの見た目って、白人黒人ほどはくっきりした違いがないじゃないですか。日本人と朝鮮人だって似てますよ。

 

カ:確かにそうです。

 

皿:アメリカという国は人種のるつぼで全然人種の違う人たちが共生しているわけですが、そこに八村塁が行くと「お前はアジア人だ、日本人だ」って言われているのは、考えさせられました。

 

カ:なるほど!

 

皿:外からじゃないと気づかない面がありますね。

 

カ:つまりアメリカ人から見ると、八村塁がかもし出す雰囲気が日本人だったということですよね。

 

◆◆◆

 

皿:大坂なおみ選手のことも書いてましたけど、大坂なおみ選手はまだ日本語が堪能ではないじゃないですか。

 

た:まぁ、そうですね。

 

皿:普段は英語で話していて、夢だって英語で見ているのなら、中身は日本人とは違うんじゃないのかなって思っていたのですが、よしりん先生が述べているのを読むと、日本人って言っていいんだなって思いました。

 

た:それはどうしてですか?

 

皿:日本国籍を選択されてますんでね。日本語がしゃべれて、日本語で夢見て、日本語が堪能じゃなくても日本人の・・・、うまく言えないですけど。

 

カ:それはつまり「日本に帰属意識を持った人」ということですね。

 

皿:あ、そうです!

 

カ:「日本に帰属するという意識がある人は日本人でいいんじゃないか」というのがよしりん先生の見解だと私は思いました。

 

皿:ケネス・ルオフさんとの対談本の中でも「ハーフの天皇」が将来出てきてもアリなんじゃないかっていうのも、僕も対談本を読んだときに確かにそうやなって思いました。だけど以前ならば「ハーフの天皇」など頭をよぎったこともなかった。やっぱり更新していかないといけないですね。

 

カ:私は、ケネス・ルオフさんとの対談本を読む前までは「ハーフの天皇」は、なんとなくまずいんじゃないかって思ってました。

 

た:そうなんですか?

 

カ:ところが「なぜ、ハーフの天皇がまずいのか?」を言語化しようと思ったら、確かにこれは理由が無いなと。そもそも、まずいことなど何も無いなって思いました。

 

皿:そうですね。

 

カ:そして、今週の辻説法を読んだら「そもそも日本人自体が混血じゃないか」と思いましたし、であればなおさら「ハーフの天皇」なんて全く問題はないじゃないかと思いました。

 

た:なるほど。

 

カ:「日本に帰属意識を持った、日本の歴史を継承する、日本人の天皇」であれば、皮膚や目の色なんか、全く問題ないと私は思いました。

 

◆◆◆

 

カ:たっちゃんは、今回の「よしりん辻説法」の感想はいかがですか?

た:僕は、高校時代までは愛媛県の田舎に住んでたんですけど、外国人って全然見たことがなかったんです。周りでハーフの人を含め全く見たことなくて。唯一見た記憶といえば、小学生ぐらいのときに、子供野球教室がイベントであったんですけど、そこにクロマティが来たんですよ。

 

カ:クロマティは、見た目100%外人ですね()

 

た:そのクロマティ見たのが唯一ぐらいかな。そこから20年くらいの月日が流れて、今は京都に住んでるので外国人を当たり前のように見ます。

 

し:祇園なんか外国人しかいませんよ。

 

た:そうですね。20年程度でこんな変わってきてます。そして高校野球を見てたらそれこそハーフの子がたくさんいるじゃないですか?何年か前やったら見た目だけで、日本語しゃべらない人なんかなって勝手に思ってたんですけど、全然そんなことないっていうのが、最近ようやくわかってきました。

 

カ:京都の観光客はいくつか問題があると思いますが、ハーフの日本人については何の問題もありませんよね。

 

た:単純に見た目だけのことで、小さいとき八村塁もジロジロ見られたというのがあると思うんで、そういうのがあんまり変な方向にいかないように、僕もアップデートしていかなければならないと思いました。

 

し:やっぱり原理主義じゃなくて、その都度アップデートしていくっていうのが大切なんじゃないですかね。

 

カ:本当にそうですね。たとえば、今、私達がしゃべってることも、当然完成形じゃないわけです。いつの日か、ガラって変わると思います。もちろん良い方向にね。

 

◆◆◆

 

た:ネパールのドルジェさんは、「よしりん辻説法」は読んでいないですよね?

 

ド:はい。ですから、皆さんの感想を聞いた、僕の感想を言いますね(笑)

 

た:どうぞ()

 

ド:僕も人類の純血主義は間違っているというよりは馬鹿らしいと思います。色々と理由はありますが、まず人類は7万年前のインドネシアの地球規模の大噴火で絶滅しかけ、その時に遺伝子のボトルネック現象が起きたらしいです。つまり、遺伝子的に人類はゴリラさんやチンパンジーさんをはじめ他の類人猿にくらべものすごく幅が狭いらしいです。そんな狭い中で血統による排他主義を唱えたら、お猿さんたちに笑われてしまうので、僕は純血主義よりも歴史、文化を含めた共同体を重視していきたいです。ちなみに領土、国土については最近の難民問題もありますのでケースバイケースで考えないといけないのかと思っています。

 

し:なるほどです!文化や風土より血が大事ってのは絶対間違ってると思います。天皇の血統も、遺伝子がどうとかより、その神聖さとか、佇まいとかの方が絶対大事であって、要はロマンですよロマン!()

 

ド:まったく、同意です。世界で唯一の神話から続く皇室なのだから。要は科学的に証明などしなくても、大多数の国民がその神話を信じるロマンを持ってさえいれば、現行憲法における国民の総意に基づく象徴が成り立つのだと思います。

 

皿:血の論理は怖いですよね。ナチスの思想に行き着いちゃいますし。部落差別もそうですもんね。

 

ド:あえて純血主義者をはじめとする排他主義者の方たちの弁護をします。現在の問題のほとんどはここ20年ぐらいの間に起きた、グローバリズムによる国家の溶解、国家の三要素である主権・領土・国民のうち主権と領土の破壊によるものだと思います。純血主義は良くも悪くもその解決策の一つとして世界中でトレンドになっているのだと僕は考えます。

 

し:うーん深い。確かに僕も「自由過ぎる社会」は危険と思う方なんで、適度な制限と管理は絶対必要だし、それをどの範囲までとするかを話し合うのが公論だと考えます。

 

◆◆◆

 

カ:今回のよしりん辻説法は、しんちゃんの感想を徹底的に聞きたいです。そして議論をやりたいです。

 

し:まず、僕は日本生まれですけど母も父も韓国人。僕は日本人と結婚して、子供が生まれ、日本で生活するつもりやから日本国籍をとったという形なんです。

 

カ:はい。

 

し:だから「帰属意識を持ったらその国の人です」っていうのは賛成です。外見や言葉とかよりも「自分の中でふるさと」というか、帰属する場所はどこなんかっていうのを一番重視したいなっていう気持ちは確かにあります。

 

カ:そうですか。

 

し:よしりん先生は、事情があって国籍を取得してない者でも日本人同然だってよく言ってくれはるんですけど、いろんなイデオロギーに毒されてる人もいはるんで、あえて日本人じゃないって思おうとしてる人もいるんですね。僕らの立場の人は。

 

カ:それはそれで良いとも思います。在日の人が「日本人に帰属しない」という選択をするのもあるべきだと思います。

 

し:そうは言っても、その人は「何人なの?」って言ったら、逆に韓国では韓国人とは認められないわけじゃないですか?例えば「僕の国籍は韓国なんですよ」って言っても、「じゃあなんで韓国語を勉強しないの?」とか言われたこともあります。もちろん、覚えたくないわけでもないし、でも勉強する機会もなかった、あんまり意欲がそこまで湧かなかったっていうのもあるんですけどね。やっぱり韓国側からしたら、韓国人とは思われてないわけですよ。

 

カ:あー、なるほど。

 

し:大坂なおみが日本語がたどたどしいから「日本人じゃねーんじゃねーの?」と言われるのと同じ感覚だと思うんですけどね。だから僕らみたいな立場の人間ってどこに帰属していいかわからないグループの人たちなんですよ。大坂なおみは少なくとも日本人の母親がいて、日本でも住んでてという生活をしてるわけですけど、僕らは、ほんまに国籍だけってやつがいっぱいいるんですよね。僕の親なんて、日本で生まれて、韓国に行ったことさえないですからね。「韓国人の国籍の人間から生まれて韓国人」という形にはなってるけど、「韓国要素一つもないやろ」みたいな感じになってます。

 

カ:仮に、在日の人が日本への帰属意識を拒否したとしても、「日本の公共性から逃れがたく影響されてる」ということもありますよね。

 

し:おっしゃる通りです。それで「俺は日本人じゃない」って言い続けてること自体が不自然やと僕は思ってるし、そう思ったからこそ、僕は日本国籍を取ったっていうのがありますよ。

 

カ:在日朝鮮人の歴史背景や、個人のアイデンティティを推察すると「あえて日本への帰属を選ばない」というのも尊重しなければならないとは思います。ただ、客観的に見ると「あなた日本人やろ?僕らと一体どこが違うの?」とどうしても思ってしまいます。

 

し:「一体、在日を何世までやるんですか?」ってカンジでしょう?

 

カ:正直言えば、そんなんだよなあ。だって、しゃべってても違和感がないんだもん。

 

し:だから僕は、それを、子供以降に背負わせたくないなって考えました。

 

カ:それはすごい決断だと思う。

 

し:実は最初は、決断できなくて、選択権を子供に託そうと思ってたんですよ、その方が僕としてはかっこええなと思ってたんですよ。子供が「国籍変えたい」って言ったときに、「おお、好きにしろ」って言うのがかっこええと思ってたんです。僕の親は日本国籍に変えることには否定的やったんでね。だけど、逆に、日本ならではの先送りというか棚上げみたいに感じてきて・・・。実際に自分に子供ができた時に「俺は、自分が決められないことを子供に押しつけとるだけやないか!」って思うようになりました。

 

カ:それは、徐々に思うようになったんですか?

 

し:ゴー宣読むようになって、長期的なスパンで物事を考えなあかんなって思うようになってきたのはありますね。

 

カ:日本国籍取得の決断に、ゴー宣の影響もあったわけですね。

 

し:「僕が死ぬまで好き勝手できてたらええわ」って考えはダサいと感じました。

 

カ:なるほど。

 

し:それは例えば原発だったりとか、年金であったり、憲法でもそうやし、天皇の跡継ぎ問題もそうじゃないですか。僕らが生きている間にはそんなに問題が起ることはないと思います。だからと言ってこのままにしといてええんかって問題がいっぱいあって、ゴー宣にはそれがテーマとして書かれてるので。

 

カ:まさにそれが「公」という感覚なんだと思う!つまり「自分の代さえよけりゃいい」って考えるのは私的領域なんです。それ以上のことを考えるというのが「公的領域」なんでしょうね。つまりしんちゃんは、ゴー宣を読んで、そういう公の意識を持って自分の世代以降のことまで考えたということですね。

 

し:そうですね。それで、たとえば「青い目の天皇陛下」がどうなのかと考える時、単純に「自分が見慣れてない」というのを理由に否定するのではなく、実際にいろんなことを考えたらそういうこともあり得る時代が来るかもしれんっていうことまで想定した上で、賛成か反対かっていうの考えるべきです。「俺は嫌だ」っていうだけのレベルだったら議論にならないと思います。

 

カ:「俺は嫌だ」とか「見慣れてない」とか「前例がない」とかで思考停止しては『公』とは言えないですね。「千代に八千代に」を意識するなら、自分が死んだ後のことまで考えなければならない。

 

し:自称保守派なんて「さざれ石から巌にもなれない砂粒みたいな奴ら」ですよ。

 

カ:うまいこと言うね!() 今日は、すごい勉強になりました。ありがとうございました。

 



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