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河田剛著「不合理だらけの日本スポーツ」

 

投稿者:ポコ太郎さん 

 

河田剛著「不合理だらけの日本スポーツ」(ディスカバー携書)を読みました

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著者の河田氏は、スタンフォード大学アメリカンフットボール部のオフィンシブ・アシスタントを就任されている日本人。先日、同氏の講演会に出席したのですが、あまりに興味深く刺激的な話で、ご著書を即購入し寸暇を惜しんで読了しました。このような講演会はすぐに眠たくなるのですが、出席者みんながピンと張りつめた感じで、寝ている人は誰もいませんでした。また講演後に質疑応答の時間がありましたが、30分枠だったのが1時間以上質問が止まりませんでした

 

 

大きな枠組みで、どのような内容の本なのかと言うと、「日本では努力や根性を重視し、米国では仕組みと投資で成果を最大化する」ということ

 

 

個別にかみ砕くと…

①日本は個人に依存、米国はシステムに依存:同氏曰く、米国大学スポーツ界では練習時間が厳しく制限されており、限られた時間で最大の成果を出すことが求められていると説明。そのため、感覚や根性でなく、科学的な計画と組織運営が重視されている

逆に日本では、長時間練習や気合・我慢が評価されており、個人の努力に依存する傾向があるとのこと。いまでも高校野球では年間360日練習していることが美徳扱いされている

 

 

②米国では、選手は大学やチームにとってアセット(資本)と言われている:怪我をした選手には無理をさせず、医師やアスレチックトレーナー・ストレングスコーチなどが連携して復帰を支援するが、これは選手が大事な投資対象と言う考えに基づく。大谷翔平さんが故障した際に無理をさせずにゆっくり休ませるのは正にこの考え方に準拠していると思います

しかし日本では少々調子が悪くても試合に出ろという文化であり、米国と大きく違うと

 

 

③米国では「まずやってみる」、行動してから考えるという文化・姿勢:しかし日本ではいろいろな考えを煮詰めてから行動に起こす文化ではないかと。この行動の遅さがビジネスにおいても世界に負けているのではないかと指摘されている

 

 

④米国の大学スポーツは、スポーツとビジネスを切り離さずに長期的なビジョンを持った事業として捉えている:特にスタンフォード大学では放映権や寄付・スポンサー・グッズ販売などを通じて大きな収益を生み、その収益を施設や選手育成に再投資している

しかし日本では「アマチュアスポーツはお金の話をすべきでない」という考えが根深く残っており、米国型の持続可能なスポーツ経営には学ぶ点が多いと述べている

 

 

同氏は単に米国が優れていると言っている訳でなく、日本人の努力や献身という長所を残しながら、米国の合理的・専門性・経営感覚を取り入れることが大切だと述べています

 

 

特に重要なのは以下5点と仰っています

①努力の量よりも成果の質を重視する:日本ではいまだにたくさん練習した人が偉いという考え方が残っているが、米国大学スポーツでは練習時間が厳しく制限されており、コーチは限られた時間で成果を出さなければならないため、データ分析や映像分析・ミーティング等を活用し、効率追求する。この考え方は企業経営にも繋がる

 

 

②選手ファースト:日本では上記②の通り、「痛くても頑張る」「無理をしてでも試合に出る」ことが美徳になりがちだが、米国では怪我を悪化させることは組織の損失と考え、医師やトレーナーなどの専門家が連携して選手を守る。この考え方は、少子化が進む日本では、競技者を大切に育てる発想は今後ますます重要になると思います

 

 

③専門家への権限移譲:日本では監督やコーチがなんでも判断するケースが少なくないが、同氏は米国の強さの背景としてヘッドコーチ・ストレングスコーチ・アスレティックトレーナー・医師・理学療法士などの分業体制を挙げている。いわゆる、「一人の名将より強い組織」という発想

 

 

④スポーツをブランドや事業として考える:米国では放送権・寄付・スポンサーシップを活用しながら資金を集め、その資金を競技力向上に再投資しているが、反面日本では競技力向上の議論は俎上に上るが、どのように資金を集めるか、どうファンを増やすか、どのように地域と繋がるかという経営視点がまだまだ弱いと仰る

 

 

⑤挑戦する文化:同氏は自身が会社員から渡米し、スタンフォード大学でコーチになった経験から、「やれば分かる」「行動してから考える」という米国的な価値観を強調し、挑戦しないことに方がリスクと考える傾向がある

しかし今の日本は失敗しないことが重視されており、このことは致命的に成長の足かせになっていると

 

 

ビジネス含め、現在の日本の組織運営そのものへの貴重な提言をしてくれている、非常に実りのある講演会、そして本でした。

 

日本のスポーツ界に憂いを感じている方、もっとスポーツが世界に伍して戦えるようになって欲しいと願う方には必読書だと思いました

 

 

 

(カレー千兵衛のコメント) 

 

なるほど、これはスポーツの世界だけに留まらず、

 

ビジネスの世界でも似たような傾向があるように個人的に感じました。

 

特に「人事評価」においては、まったく同じだと感じました。

 

日本人が「美徳」とされているモノが、時に、進歩の妨げになることが多々ある。

 

一方で、そのような”日本人の不合理さ”が、時に、理屈では測れないほどにとてつもない力を発揮することもある。

 

そういえば「プロジェクトX」では、よく、そういう日本人の生き様が紹介してましたね。

 

 

つまりポコ太郎さんの言う日本人の努力や献身という長所を残しながら、米国の合理的・専門性・経営感覚を取り入れることが大切』というのが正しいのでしょうね。

 

 

 


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