投稿者:トマトさん
和ナビィさんが投稿された「『遊び』と『遊ばされ』」でのコメント欄で、
ポコ太郎さんがオススメしていた本(「イランと日本」セイエド・アッバス・アラグチ著)に興味が沸き、購入、先日読み終えました。
とても良かったので、私からもオススメしたくなり投稿します。
著者のセイエド・アッバス・アラグチ氏は2008〜2011に駐日イラン大使をされており、その時の回顧録となっています。
日本での翻訳本の発行日は2024年10月30日(イランでの発行は2022年)なので、米軍がイランの小学校にミサイル攻撃(2026年2月28日)や、イランの核施設に特殊貫通弾攻撃(2025年6月22日)する前に出版された本です。
読み終えてみて、イランがアメリカからの大規模攻撃を受けるより以前に、アラグチ氏がこの本をイランと日本で発行していた事に、両国にとって、とても大きな意味があるように感じました。
具体的なエピソードがたくさんあるので、興味が途切れる事なく、ページをめくる手が止まりませんでした。
著者の人となりも自然と伝わってきます。とても誠実で知的な方という印象を受けました。
デタラメな言動のトランプ氏とは月とすっぽんです。(←すっぱんに例えるのなんて、すっぽんに失礼なくらいですね)
興味を惹かれたところを一部引用します。
「城田大使は、短くしかし包括的かつ含蓄のある三つの言葉で日本を表現した。『東洋の心(Eastern Heart)、西洋の思考(Western Mind)、日本人の道徳観(Japanese Ethics)、この三つの特徴で日本を定義づけることができるとの説明だった。東京在任中、私はこれらの特徴を実際にこの目で確かめ、そして経験した。」(p.27)
「日・イラン二国間貿易において、あるいはイランから経済ミッションが訪日する際に、何か問題が発生するたび、イラン本国は、在日本大使館に対し、外交ルートを通して障害を取り除くよう要望した。それはイラン側が、日本政府の幹部や政治団体は企業に対し指示を出すことができると考えていたからだろう。これは、イランにおける政府を中心とする経済のあり方に起因するもので、日本では通用しない。(中略)新しく首相が任命されると、最初の仕事として経団連を訪問し、大企業に対し、国益である企業利益増進へ向けて取り組むと忠誠を誓うのである。首相の方が経団連の指導者のもとへ赴くのであり、彼らが首相のところへ来ることはない。」(p.66)
「しかしいったん、日本人から肯定的な回答が得られれば、安心しきって、案件が期日通りに最善の形で行われると確信することができた。日本での最も困難な仕事は、『わかりました』との了承を得ることであり、そのあとはすべて円滑に事が進む。もしかしたらイラン文化と逆なのかもしれない!」(p.86)
「JICAと同機構が日本外交で果たしてきた役割は研究に値する現象である。1951年9月サンフランシスコ講和条約に調印し、日本は第二次世界大戦中に侵略したアジア諸国に対する一連の損害賠償の責務を負った。しかし日本はこの罰金を、自国の経済成長と発展のための手段へと転換させた」(P.123)
他にも、天皇陛下に謁見した際のエピソード、東日本大震災時のイラン大使館による炊き出しの事、1953年の日章丸事件の事、日本の刑務所に収容されている同胞に対する思いやり、事原爆投下された日本と投下したアメリカとの間の友好関係の不思議さについてなどなど、たくさんの記載があります。
オススメです。
(カレー千兵衛のコメント)
現在のイランの外務大臣による「日本論」。
逆説的ですが「外国人の目から見た日本」の方が、”日本の本質”を的確に捉えるということが往々にしてあるのでしょうね。
親日論の部分は、有り難く、うれしく思います♪
その反面、「原爆を落とされたアメリカの言いなりになっている日本」の姿は、異様で、異常に見えるでしょう。
日本人として、本当に恥ずかしく思います。
↓(広告)↓

大阪の一会社員 (土曜日, 16 5月 2026 20:46)
「日本を取り戻す」、「日本として」…
等のもっともらしい言葉を使う方々が、
実はアメリカベッタリに甘んじたり、
どこかの宗教団体に取り込まれたり…
覚悟を持って、いい加減にその様なものから脱却しようとする事こそ、
本質的に
「日本を取り戻す」「日本として」…
になるのだと思いますけどね。
和ナビィ (木曜日, 14 5月 2026 10:49)
私も今読んでいる途中ですが仰る通りとても興味深いです。他から日本を照らし出す内容・独特の書き方でいろいろ気付かされます。
現在戦時下のイランの外務大臣、当事者トップで各国・各方面と交渉し国の進む道を拓いていく責務を背負う最前線の方、考えを廻らしまさに「闘い」の日々と拝察します。連日のニュースにも頻繁にその名を見ます。
「アラグチ」の音から日本名に似ているなと思っていたのですが、御本の中でそのエピソードが語られ印象に残ります。「荒口」でも「新口」でもなく、「新久地」---新しく久しい地---の字を当て任地「日本」ととらえる、当時の名刺にも書かれたとのこと。日本であの東日本大震災の頃を経験されていることにも大きな意味を感じます。
トマトさんのご感想、ポコ太郎さんのガイドライン、ありがとうございます。後半を読むのがますます楽しみです。
ポコ太郎 (木曜日, 14 5月 2026 08:13)
トマトさん、素晴らしい書評ですね❗️
簡単にこの本の内容・ガイドラインを以下に記しますので、英二さん他、ご参考にしてくださいませ。多くの方に手に取ってもらいたい一冊です
①もともとはイラン国民向けに書かれた日本紹介書であり、「イラン人の目から見た日本論」・「外交回顧録」という位置づけ
日本を語りながらイランも浮かび上がる創りとなっています
②日本人・日本社会の分析としては、規律正しい・秩序重視、集団を重んじる、忍耐力が強いと指摘。このことは震災対応などで強く実感されたようです
また社会の特徴としては、安定・安全を重視、外から見ると「閉鎖的」だが内部は高度に組織化され、技術力・創意工夫・独創性が高いという見方をされています
③一方、日本外交の見方は、アラグチ氏の分析はかなり現実的です。
慎重・調整型、表に出ない交渉を重視、アメリカとの関係が非常に大きいことを挙げており、日本は対米関係に強く影響される外交を行っているため、イランとの関係にも限界があるのではと見ています
④日イ関係の評価としては、日本とイランは歴史的に友好的(日章丸で再確認されたところ)で、両国民の間には親近感がある
また、西側に属しながらイランと関係を持つ珍しい国。将来、仲介者・橋渡し役になれる可能性も示唆しています
⑤最終章では東日本大震災の経験を記されています。この章が一番読み応えがありました。
日本人の秩序・忍耐を高く評価、危機でも混乱しない社会に感銘し、「危機の中で見えた日本人の本質」を描いています
英二 (水曜日, 13 5月 2026 22:40)
素晴らしい本を紹介していただきありがとうございますm(_ _)m
私も早速明日本屋に行ってみます。