投稿者:ポコ太郎さん
山尾志桜里さんが今回の高市総理誕生の総括的な寄稿をされていました。
よく整理された是々非々を明確にされた文章であり、納得尽くめの内容と思いましたので、共有いたします。
次回の喫茶談義の補助線になることは間違いないのかな〜なんて思いますね
ものすごく言葉を選んで、丁寧な切り口で、流石だと思います
(本文以下)
山尾志桜里氏が高市首相にエール「女性初総理を祝福できないリベラルの自己矛盾」「今回玉木さんは総理を目指さなくて良かった」
https://www.dailyshincho.jp/article/2025/10241103/#google_vignette
「女性なのに保守」は男女差別
時代が高市早苗さんを日本初の女性総理に選びました。女性であることをアピールせず、政策勝負で宰相の座をつかみ取った高市さんの大偉業に、まずは心からの拍手を送りたい。よくぞ努力してくれたという感謝の気持ちも抑えることができません。
他方、一部の女性政治家や有識者から、初の女性総理が保守を標榜する高市さんであることに失望の声があがっています。リーダーにリベラルな価値観を求めるのは自由です。でも普段「女性は女性らしく」という風潮を批判している人が、「女性のリーダーはリベラルであってほしい」という価値観を押しつけるのは自己矛盾。高市さんの保守性を批判するだけでなく、「女性なのに」と屋上屋を重ねるのはまさに男女差別です。
また、女性だから女性を応援する政治家という範疇に自分を押し込めてしまうと、総理の座をめぐる権力闘争には勝ち切れないのが現実です。
女性宰相といえば思い浮かぶのがドイツのメルケル首相。2005年から16年間、長期政権を率いた彼女は、任期終了間際の2021年まで、自身をフェミニストと呼ぶことを拒んできました。指導者としての求心力を維持するのに「女性の代表」というタイトルは不要、実力勝負の打ち出しこそが統治の生命線。政治家としての本能でその社会構造を見抜き、現に実行し、長期政権の樹立を果たした宰相であったと思います。
女性総理は「女性のための総理ではない」
そして実は日本の永田町でも、女性政治家の多くが、本能的にその社会構造を感じています。「女性の声を国政に!」という打ち出しは、選挙には通りやすくても、リーダーにはなりにくい。多くの女性政治家が、そうした悩みを抱えつつ、それを妥協や工夫で乗り越えながら、キャリアを積んでいます。
その中で高市総理が頭一つ抜きん出たのは、「女性代表」とは別の道を明確に歩み、政策本位実力勝負の戦略を描いて、本気でそれを実行してみせたこと。女性政治家同士の「ハラスメント体験談座談会」に出るよりも、むしろ経済や国防にフォーカスした発信で、硬派な政治家像をコツコツつくりあげてきた努力の宰相だと感じます。
男性総理が「男性のための総理」でないのと同じく、女性総理は「女性のための総理」ではないのですから、高市さんのその戦略は正しい。私はそう思います。
その上でここから期待したいのは、「全国民のための総理」となるために、保守政治家としての懐を深くしてほしいということです。政治が国民の生きづらさに向き合い、困りごとを解決していけば、国民の間に自然な愛国心が生まれ(それを愛国心と呼ぶかどうかは人それぞれですが)、いざというときの国民国家としての連帯につながります。
選択的夫婦別姓の「現実的な解決策」
その連帯は、高市総理が重視する国家としての安全保障の要でもあります。だからこそ、いわゆる「リベラル」とレッテル張りされた政治課題をもきっちり解決して頂き、「リベラル」な国民と国家の間にも自然な紐帯を結んでほしいと思うのです。保守だからこそ解決できる「リベラル」な政策があるはずです。
たとえば選択的夫婦別姓。維新との合意文書には「戸籍制度および同一戸籍・同一氏の原則を維持しながら、社会生活のあらゆる場面で旧姓使用に法的効力を与える制度を創設する。そのために、旧姓の通称使用の法制化法案を26年通常国会に提出し、成立を目指す」と書き込まれました。戸籍の姓を家族で統一させつつ、望めば旧姓に統一した法的根拠を与えるという提案なら、バランスのとれた現実的な解決策といえます。
今の制度で生きづらさや働きづらさを感じている国民が相当数いることは事実ですから、ぜひご自身のコア支持層の理解を得て、来年の通常国会で成立させてほしい。高市総理が「全国民のための総理」になれるかどうかの試金石として乗り越えて頂き、リベラルをも包摂する国民国家の宰相になってほしい。そう期待しています。
国民民主は「妥協しなくて良かった」
今回の政局では野党が結束できず、政権交代は叶いませんでした。しかし結束したフリをして政権をとっても、国政の混乱と国力の低下を招くだけ。立憲民主党が自己変革できなかった以上、仕方ないことだったと思っています。
野党第一党である立憲民主党は、安保法制違憲論から卒業して現実路線に転換する最大のチャンスを逃しました。国防の要の制度について、範囲も示さず違憲論を唱え続ける政党に、国民が政権を渡すことはないでしょう。安全保障ではリアリズムに立つ中道政党の誕生はさらに遠のきました。
この点、国民民主党玉木代表がチャンスを逃したと評価する向きもありますが、少なくとも立憲が自己変革できなかった以上、立憲からの総理指名を受けなかった判断は正しかったと思います。
というのも私自身、玉木さんとともに2009年民主党政権で最初の議席を頂き、安全保障に関する党内不一致の軋みが最大化する中、野田総理の解散で2012年政権再交代を経験しました。その上、この民主党政権瓦解の最大の原因である安全保障のユートピア主義(註・現実離れした考え方)は、民進党そして立憲民主党にも引き継がれました。
そうした経緯もあって、やはり立憲民主党には憲法・エネルギー・安全保障政策で国の舵取りを任せられないと考えた議員たちが、国民民主党をスタートさせたのです。ですから、今回もそこを妥協して政権を共に担うという選択はできなかったでしょうし、するべきでもなかった。
「リアリズムに立つ中道政党」の必要性
ただ今後の備えとして、国民民主党には「穏健保守からリベラルまでを包摂する改革中道政党」という綱領にもう一度戻ってほしいとは思います。憲法や安全保障やエネルギーに関する現実路線は評価できる一方、参院選の公約で外国人排斥を助長するような表現を用いて撤回に追い込まれたり、玉木さん自身が党代表として「反対する理由は見当たらない」と明言してきた同性婚について結論の先送りを続けたりしているのは残念です。
自民と維新が協力を強めて政権与党を担い、野党をみれば参政党や日本保守党がいわゆる岩盤保守層を分け合い、他方で立憲民主党が「リアリズムに立つ中道政党」に脱皮できない以上、この空洞を埋めるのは本来的には国民民主党の役割ではなかったのでしょうか。岩盤保守層を追いかけてそのパイを取り合うよりも、中央に空いている「リアリズムに立つ中道政党」のニーズを捉えてほしい。
もし国民民主党も立憲民主党もその任を担えないのであれば、このニーズを捉える政党が現れ、自民・維新の「連立」政権に対して緊張感をもたらす政治勢力として進展してほしい。
それがいつどのように現れるのか全く不透明な今、まずは自民・維新政権の船出に期待し注目しています。
小泉政権より高市政権の方が「相性が良かった」
高市内閣を実現させたもう一方の主役が日本維新の会でした。今回幻に終わった小泉政権よりも高市政権の方が、実は維新との相性がよかった。それほど驚くことではなく、両者はそもそも「叩き上げのひたむきさ」で通じるところがあったのだと推察します。
世襲でも富豪でもないからこそ、自力で政策を磨き民意を勝ち取ってきた。当初は人間関係こそ薄かったのかもしれませんが、政策協議を通じてその共通のバックボーンが響きあい、互いに納得づくの協力開始に至ったのではないでしょうか。
そこで協力の基盤となった合意文書をみてみると、総論にはその相性の強さが反映されている一方、各論の端々には課題も浮かび上がります。
総論に関しては、安全保障は「リアリズム」に立つとあります。おそらくその意味するところは、パワーに基づく闘争という国際政治の現実をみすえた安全保障観で合意し、「理想主義・夢想主義」的立場には立たないことを打ち出したのでしょう。経済においては、国民の生活はあくまで「経済成長」によって向上するのだと書かれていて、つまり「脱成長論」的立場には立たないことを発信しています。
政治改革の方向性が曖昧
安全保障と経済というこの両軸で足場が共有できているから、これは思いのほか強い協力基盤になるのではないでしょうか。
ただこの合意文書の各論には、もちろん懸念もあります。
1点は巷間指摘されていることですが、政治改革の方向性が曖昧なこと。特に企業団体献金について「高市総裁の任期中に結論を得る」とあり、現実的な〆切も方向性も示すことができていません。過去の「裏金問題」になお事実上縛られた人材登用は正直もったいない。未来に向けた政治献金の構造改革を実行すれば、もっと国民の理解が得られるのにと感じます。あわせて、議員定数削減より企業団体献金規制の方が、国民の側を向いた政治の実現にダイレクトに効くはずなので、この点からも残念。
もう1点懸念するのは、憲法と皇室の道筋に関する運びの粗さです。今回、自民と維新とで、憲法改正(9条と緊急事態条項)については両党の協議会をつくり、皇室については男系男子養子縁組案を優先することを合意したわけですが、このテーマに関しては政権与党だけの枠組みよりも、超党派の枠組みを大事にする方がよいのではないでしょうか。
具体的には、憲法でいえば、憲法審査会での超党派条文起草委員会の発足を重視した方がいい。皇室については、既に動いている立法府での超党派の協議体を活発化させた方がいい。そう思います。
「土台」の補修には国民のおおよその理解・納得が不可欠
なぜなら、この自民・維新の2党では掬い取れない民意、すなわち改憲反対の声も女系女性天皇を求める声も相当の割合で存在するのが現実だからです。同じ方向を向いている自民と維新とでさらに精緻にすり合わせるよりも、違う方向を示す民意と向き合って尊重し、どう結論を導くかが実行の肝だと思います。
私自身は大枠で維新の9条及び緊急事態条項の改憲案に賛同している一方、皇室の男系男子養子縁組案には消極の立場なので、賛否でいえば半々なのですが、大事なのは実行するためにどう合意をつくるかだと言う点を強調したいと思います。
頑固な護憲主義に馴染めず立憲民主党を離党した経験もある私としては、具体的に議論を前に進める必要性は痛感しています。ただ、憲法と皇室はこの国の土台です。その土台の補修には国民のおおよその理解・納得が不可欠なので、政治家は、良かれと思う自分の選択を少し抑えても、国民の議論を見定める度量が求められていると感じます。
山尾志桜里(弁護士・国際人道プラットフォーム代表理事)
(カレー千兵衛のコメント)
山尾志桜里、すごいですね!
お見事です!!
高市早苗のことが嫌いな人こそ、読むべき論考です。
高市早苗に対するアンチが、
逆に高市早苗の支持率を押し上げているという状況に
歯止めがかかればいいと思っています。
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