マクロ経済が中心となるストーリーですが、世界経済から見渡す日本のこれまでと、これからのあり方が見通せる、ここ最近ではベスト3に入る本でした。
1100円でこれだけ濃い、貴重な情報を手放していいのかな?と思ってしまうくらいの値打ちある本。
既知の情報はほぼなく、ヘッジファンドの実態や日米の政策当局者とのやり取りなどを惜しげもなく披露します。無駄な記述はまったくない。
著者はワシントン在住の投資コンサル会社の経営者であり、「ジョージ・ソロスを大儲けさせた、伝説のアドバイザー」と言われている方です。要は資本主義の権化のような方。
膨大なマネーを取り扱うヘッジファンドであり、各国政府の経済政策分析に関わる情報提供、コンサルを行う「裏方」仕事故に、表舞台に出てくることはなく、業界でも知る人ぞ知る存在のようです。
また個人的には性的マイノリティ(トランスジェンダー)と仰っています。
ネタばれになるといけないので、ざっくりとしたサワリだけですが…
ベースとなる話は、これからのアメリカ・中国・EU・日本がどうなるのか?というところ。
日本が「失われた30年」と言われている期間に世界は大きく変化。特に目覚ましいのは中国の台頭や GAFAを象徴とする、新自由主義の席巻。しかし、近い将来に新自由主義的価値観が崩壊すると。
新自由主義的な世界観に支えられた既存システムは今や信認(コンフィデンス)を失い、パラダイムシフトが生まれる。そしてその結果、勝者と敗者の入れ替え戦が始まり、日本は地政学的な要素により勝ち組になる…これが本書の結論。
事実、日経平均株価は上昇し続けており、実現しそうな勢いがあります。
日本が勝ち組になると相対的に(というか、中国が米を脅かす存在になりつつある故に)中国が負け組に崩落していくとも。中国が明らかに衰退に向かっていることは明確になっていますね。
カレーさんが先日投稿された、「マンションの価格上昇」の流れも「one of them」と見ています。
仕事上でも人・モノの価格が上昇しており、大局ではこの流れは止められないのではと感じています。
先日、米大企業オーナーの個人基金に日本が大きな出資をしたことが批判的に話題になっていましたが、実は米IT企業の日本へのデータセンター投資が相次いで発表されており、また半導体のサプライチェーンの再構築も進んでいます。
グーグルが1000億円、Amazonが2兆円、マイクロソフトが4400億円、オラクルが1.2兆円の投資計画を次々発表しています。
我々庶民感覚では、目先では物価高で困窮している声をよくききますが、これから順風が吹くようになれば、低所得者の生活は以前よりも楽になるとともに、高所得者の水準の伸びもそれよりも大きく加速するとのこと。
また他国が無理に新自由主義を導入した結果、社会を分断させてしまったのに対し、日本はバブル崩壊と金融危機のなかでも社会の分断を避けるため、低成長・非効率の道を選んでいたが、これからは封印していた市場メカニズムを駆使するタイミングが訪れ、ほぼ痛みを伴うことなく成長局面に入るであろうと。
ただし、政権与党が非常に脆弱なことが強い懸念材料とも。
こういう局面に向けて、自分の価値を高める努力をしておかなければ、とも感じました。
超おススメです
(カレー千兵衛のコメント)
これは、私の予測とは真逆の未来図です。
ということは、私の知らない事柄が沢山書かれている本だと言うことですね^-^
累計14万部突破しているベストセラー。
それにしても、日本がそこまで勝てる状況ってあるのかなぁ?
膨大に増え続ける社会保障費と老朽化するインフラに、減少する労働力。
それでも成長局面を迎えれるシナリオとは一体何か、気になります。
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