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ウクライナ戦争と外交: 外交官が見た軍事大国の侵略と小国の戦略

 

投稿者:トマトさん

  

2025年5月26日の中日新聞で松田邦紀前ウクライナ大使による回顧録が紹介されていました。

 

記事を読んで、とても強く惹かれたので、早速書籍を購入しました。

 

  

記事より一部抜粋します。

 

 

「『理不尽な侵略戦争の終わりを見ないままに帰ってきてじくじたる思いがあった。自分が覚えている間にとにかく見聞きしたことは、できるだけ速く記録に残そうと、いてもたってもいられなかった』と振り返る。」

 

「停戦・和平の展望が見えない中、松田さんが強く懸念するのは、侵略国ロシアと被侵略国ウクライナを同列に扱い、『どちらも悪い』と、事の本質を相対化する風潮だ。」


これを読んで、あ、「相対化」「どっちもどっち」を批判している!!という事が分かり嬉しくなりました。


というのも、数年前から小林よしのり先生の書籍の読むようになって初めて、その人が物事を相対化して話しているかどうかが分かるようになってきたからです。


それ以前は、世間での出来事を夫に話していると、すぐに夫が私の意見に対して、「あ、また相対化してる」と指摘してきて、その度に意味が分からず、イラっときていたのです。


小林先生の書籍を読むようになって、初めて夫の指摘が理解できるようになりました。(夫はずっと以前からの小林先生の書籍のファンです)


今では、知識人の言説を動画や新聞で聞いたり読んだりすると「あ!これ相対化しているね!」と夫に言えるようにまでなりました。


とはいえ、人が話している内容が相対化しているかどうかは分かるようになってきたものの、自分が相対化せずに物事を話すのはとっても難しいですね。自分には無理だな・・・と思いつつ、相対化せずに、匿名ではなく、自分の意見を表現できる言論人はやっぱりすごいなーと思います。覚悟がすごい。

 

 

と言う訳で、届いた本を読んでいるところです。


実際に現場にいた方の書いている本なので、臨場感が違います。

 

まだ途中なのですが、一部抜粋して紹介します。

 

 

「外交上のすべての措置を尽くすまでは諦めてはいけない、というのが外交の要諦であると40年前に外務省に入省した直後に外務省研修所で叩き込まれたことを思い出していた。」(P.12)

 

 

「前年の2021年8月15日、アフガンの首都カブールがタリバンの手に落ちた当日にアフガニスタンの日本大使が閉鎖されて、その後の在留邦人や日本とゆかりのあるアフガン人の避難に支障が出たことを隣国パキスタンでつぶさに見ていた私は、ウクライナでの大使館の業務継続を強く主張した。」(P.20)


 

「2月23日、天皇誕生日。平和な時であれば、大使館主催で天皇誕生日レセプションを盛大に挙行するところであるが、代わりに、キーウに残っている館員4人と公邸でささやかな食事を友にして、今上陛下のお誕生日を祝い、祖国日本の平和と繁栄を祈った。」(P.25)


「2月24日(中略)まだ暗い払暁の空を切り裂くようにロシア軍の放った最初のミサイルの光跡が公邸二階の寝室の窓から鮮やかに見え、直後に大きな爆発音がした。とうとう始まったな、と何故か納得した。その瞬間、それまでの不安や懸念が頭からきれいさっぱりと消え去り、自分でも驚くぐらいに腹が据わった。」(p.26)

 

 

「キーウに残ることを決めた後も私が常に念頭に置いていたことは、一緒に残ってくれた館員の安全であり、キーウ脱出のタイミングを間違えない事であった。自分一人だけであれば、二人の息子は既に成人し、二人の孫にまで恵まれて、家内もしっかりしているので後顧の憂いはなく、最後はどうとでも対応できる自身があったが、一緒にキーウに残ってくれた館員四人は、まだ若く、幼い子供もいて、人生はこれからである。決して脱出の判断を間違えてはならないと自分に何度も言い聞かせた。」(P.34)

 

 

実のところ、まだ34ページまでしか読んでいないのですが、手に汗握るし、高潔な人柄がにじみ出ている文章だと思いました。

 

続きは、家事を済ませた後に読む予定です。

 

19時を過ぎましたが、まだ夕食が出来ていない(^_^;) 

 

 

 

関心を持たれた方はぜひこちらのサイト経由でどうぞ(*^_^*) ↓

 

 

 発行日:2025年5月2日 松田邦紀 (著)

「ウクライナ戦争と外交: 外交官が見た軍事大国の侵略と小国の戦略」

 

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(カレー千兵衛のコメント)

 

外交官という「現場からの声」は、

 

評論家の机上のそれを

 

遥かに上回る生々しさがあるわけですね!!

 

 

自らを相対化することは「客観性」に繋がります。

 

しかしながら「物事の価値を決めないための相対化」は、

 

役に立たないどころか害悪になり得えます。

 

ウクライナ戦争における『どっちもどっち論』はまさに害悪でした。

 

侵略戦争を容認したことで、

 

今後の人類史における侵略戦争のハードルを下げることに

 

加担したわけですから。

 

 


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コメント: 2
  • #2

    トマト (金曜日, 13 6月 2025 13:33)

    牛乳寒天さんへ
    こちらの本に関心を持ってくれてありがとうございます♡

    私の方は、こちらに投稿した後、あまり読めていなかったのですが、今日は、久しぶりに待ち時間の多めの仕事があったので、その間に読み進める事ができました。午後も同じく待ち時間がありそうなので、その隙に読もうと思っています。

    待ち合いスペースで、私以外にもスマホではなくて、紙の本を読んでいる人いて嬉しくなりました。

    最近、気のせいか、紙の本を読む人の数が復活してきているような気がしています。
    先日、電車に乗った時も、何度か乗り換えたのですが、その都度、乗車した車両に紙の本を読んでいる人が少なくとも、私以外に1人以上、多い時は3人いたりしたので。なんとなく、嬉しい (*^_^*)

  • #1

    牛乳寒天 (木曜日, 12 6月 2025 08:17)

    投稿を拝見し、初めてこの本を知りました。今年に入り新聞購読はやめたのですが、新聞は大事な情報源ですね。時々は買って読んでみます。

    ご紹介いただいた内容だけでも心を捕まれました。臨場感ある言葉の重みに惹き付けられます。冷静な観察眼、部下を思いやる配慮から仕事や立場への強い矜持が伝わります。
    私も読みます。難しそうですが、理解したい気持ちが勝ります。