「夫婦の絆」第11話の感想

 

投稿者:まいこさん

  

アリアドネのごとく張り巡らされていた糸の幾つかを手繰り寄せることができた第11話。

 

3人同棲の危機において、身を引くと申し出た蜜子を止めるどころか、出て行くことを促した一郎は、ついに沙耶の我慢のコップに最後の一滴を落としてしまいました。

 

沙耶が完全に一郎と父親を同一視している、おぞましいはずの獣の行為は、それでも何と生命力に満ち溢れていることか。一方の地獄は、他方の極楽、蜜子が引き起こした凄惨な場面に遜色なく、この残酷さに魅入られてしまう。

 

観る者が全て、一郎と同じ罪に連座しなければならないような恐ろしくも美しい画面が描き出されるために、いったいどれほどの甘美なる毒が呷られてきたのでしょう。

 

命を賭して自分を守ってくれた蜜子は、部屋の外で何を思うのか。

 

沙耶の葛藤から導き出された結論は、「殺されたのは計算通り」というユタである母親が出したものと同じ発想。

 

「私が沙耶を守るから」に応えた「これからは私が蜜子を守る!蜜子と一郎の絆を守る。

 

一生解けない固い固い絆を守る!」とは、逃げても逃げても獣が寄ってくる美しい「カラダ」という檻から逃れ、二人でも三人、同行三人ともいうべき新たな檻に、自ら入ることなのでしょうか。

 

 

「記憶って全て必要なのか?忘れた記憶は必要ないからじゃないか?」

 

「せっかく忘れている記憶まで無理に思い出したら、精神が崩壊してしまうのではないか?」

 

第4話で一郎が口にしたようなクライシスも引き起こされてしまうのか。

 

 

三人と共に、読者も迷い続けていたラビリンスから、ようやく光りさす方角がみえたのか、さらなる深淵にはまり込むのか。

 

これまでの物語を繰り返し味わいながら、第12話をお待ちしています。 

 

(カレーせんべいの感想)  

 

えろ~怖かった~~!

 

次も、絶対、怖いやん!!

 

三人同棲、正直羨ましいと思ってたけど、やっぱ普通に生きたい!

 

もう~~~~。

  

 

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コメント: 14
  • #14

    和ナビィ (水曜日, 21 2月 2024 10:13)

    真黒内蔵が茅根組に単身乗り込んで(押し入って?!)酒をあおりながら狂気のふるまいをする場面も印象的でした。

     「殺人は国家権力の独占物!」「歯向かう者への発砲は警察官の特権!」「死刑制度は殺人の合法化であり、社会秩序を保つ国家の良心だ!」

     た、確かにそうだ・・、国家権力の強さ、恐ろしさを改めて知ります。その「警察官」になろうとしている真黒。ただし今の段階ではまだ詐称---第10話で、まだ警察学校を卒業していないのに警察手帳を偽造していると明かされている---一。

     組長がほんとに警察に問い合わせていたら犯罪者は真黒。刑事を騙った上、不法侵入と凶器振り回して脅迫、と。蜜子への憎悪ゆえにその最強権力を行使しようとする情熱&怨念の物凄さ。どのコマの目も完全にイッちゃってます;。国家権力を笠に着た狂気。

     (それにしても真黒のヘアスタイルが柿野くんと同じ、というのが面白い;;です。)

  • #13

    ひとかけら (月曜日, 19 2月 2024 21:25)

    これまでの話を思い返すと亡霊となった沙耶は美しい顔と肉体を捨て去り異形の存在になりましたね。一郎との情事を見ると、頬を紅潮させて汗をかいている様子で肉体は快楽を覚えて頭では一郎と鬼畜親父を憎んでいるような気がします。
    沙耶が肉体を捨てたいという思いは快楽を覚えている体を捨てたいのではないでしょうか。
    一郎と親父が似てると言っても親父は蜜子の全存在を否定してましたが、一郎は料理の腕と健気な所を評価しているので蜜子は嬉しいのでしょう。
    真黒内蔵が組長の所で飲んでいたラフロイグはスコッチウイスキー好きの私にとっては勤務中に飲めて羨ましいなと思いました。まあ私はウイスキーは氷なしで水割りで飲んだら香りが立つので真黒の飲み方は余り支持出来ません。
    国家権力がバックに付き法という社会秩序を維持するためにヤクザモンに拳銃を突き付け蜜子を殺すとまで発言した真黒は確かにサイコパスの様相を呈してます。国家権力と法によって守られてる真黒は蜜子と沙耶が男達にやられた事を考えないのでしょう。人というのは権力がバックに付いてたら横暴の限りを尽くしても大丈夫だと思い込んでいる時点で危険です。ある意味最強と言える真黒ですが組長は常識人としての「こいつこそサイコパス」という発言が真実を突いてます。
    刑事と狂気とエネルギー溢れる庶民、ヤクザの戦いはどうなるか楽しみです。

  • #12

    枯れ尾花 (土曜日, 17 2月 2024 13:57)

    因みに「呪い」には「のろい」と「まじない」の二つの読み方がありますよね。

  • #11

    枯れ尾花 (土曜日, 17 2月 2024 08:56)

    やっと入手出来、先ほど読めました。
    最後の沙耶が列車前に飛び込む際に魅せた恐ろしい形相、これを見た瞬間、ふと思い浮かんだのは「呪い」という言葉でした。「夫婦の絆」という題名の「絆」ってなんなのかなあと考えていたのですが、これは「縛り」であり呪いにより夫婦という名の縛りをかけるという意味が含まれているのではないかと思いました。
    夫婦の愛、姉妹の愛、母子の愛などこの漫画は愛がテーマなのかとも思っていましたが、これは夫婦の絆という名の呪いがテーマになっているのではないかと、そして、つまり愛と呪いは表裏一体だと作者は仰りたいのではないかと。

  • #10

    リカオン (金曜日, 16 2月 2024 23:49)

    ノーズクリップ刑事はヤクザ顔負けのサイコパスと判明。蜜子はこのサイコパスから自分を守らなければならない。
    兄を惨殺されたサイコパスの弟VS姉をレ〇プされた雷の力を得た妹の対決は最後までもつれ込むのか。最大の難関になりそうだ。

    茅根組組長は強面だが、内面は常識人のようだ。ちょっと大人しいので骨のある活躍が見たいです。
    チェブリンも悪女として是非とも登場させて欲しいです。

  • #9

    リカオン (金曜日, 16 2月 2024 23:47)

    ユタについて

    ユタや巫女は神と人間との仲立ちをする。神との交信ができる超自然的能力を持つため、古代においては、崇められ尊敬されただろう。それゆえに日本では卑弥呼や壱与や女帝が祭り事を担ったのでは。皇祖神が女神である事と関係が深いと思える。

    いつしか神懸る事は遅れた迷信や風習とされ、明治からは神職の補佐役とされるようになる。

    沖縄では神懸るのは女性とされ、神官のノロや民間のユタがそうだ。日本の明治以前も似たような風習があったと想像できる。神懸る女性を見てみたい。芸術や文化として表現したらどうなるのか。

    小林先生が古代の女性の祭祀との関連で沙耶の母親をユタの系譜としたのか興味が尽きない。

  • #8

    おおみや (木曜日, 15 2月 2024 20:11)

    先に幽体離脱能力獲得、その上であの選択、そうだったのか、でした。「べき」は時として非日常的な選択として現れる、というのは解る気がします。
    刑事と組長のやりとりも主導権の取り合いや酒の力を借りる描写が良かったです。
    もしも…蜜子沙耶一郎の性別を入れ替えた場合はどこがどういう場合に成り立ちどこが成り立たないか、と思考の中で実験してみるというのも面白いな、と思って読んでおりました。

  • #7

    リカオン (水曜日, 14 2月 2024 20:44)

    第11話の感想 沙耶について

    沙耶がケダモノ親父との忌まわしい記憶を持ちながら、なぜ他の男と寝る事ができるのか不思議であった。その秘密が今回明かされた。
    子供のうちから性加害を受けた女性が二重人格になったり、意識が離脱して行為をしている相手と自分を俯瞰して見ていたという話を聞く。沙耶はユタの母から受け継いだ肉体と精神を分離させる能力を使って己の精神を保って来たのか。

    よしりん御伽草子に登場するかぐや姫は沙耶だったのではないかと想像したくなるぐらいこの二つの話は繋がっているか。沙耶はどこかで生きていて、ケダモノのような男達から逃げ続けるのではなく、彼女こそ真の愛を掴んで平穏に暮らして欲しい。

    体が目的の男を相手にしないで済む分、実は蜜子の方が沙耶より真の愛を手に入れるアドバンテージを持つのかも知れない。

    美しさと賢さを併せ持つ女性達よ、この物語を共に読み、美しさの持つ残酷さ、動物と変わらぬ男と女の営みを見たまえ。ただただ老いていくのを座して待つのでは無く、なぜ愛が手に入らないのか、鉢担ぎ姫のように蜜子の仮面を被り男達を観察してみようではないか。

    この作品を実写映画化できるならばぜひ見てみたい。このおどろおどろしい世界を漫画以上に表現できる、そんな映像作家が果たして日本にいるのであろうか。

  • #6

    kotyako (水曜日, 14 2月 2024 20:00)

    夫婦の絆 最新話。
    とうとう沙耶は蜜子を守る為に恐れていた決断を下しました。
    「私はこの体が嫌い」という沙耶の言葉は悲しすぎます。
    父親も鬼畜、沙耶に子どものような甘えきった情欲をぶつける一郎も身勝手。
    真黒刑事の蜜子への憎しみはよほど兄を慕っていて、島での暮らしを見る限りそうなのでしょう。
    でも彼には兄の所業を知れと言いたい。国家権力を利用しての復讐は強かでもあるけど自力で 
    戦った蜜子の方が共感できます。(茅根会長が真黒にドン引きするのと、女性の例えのズレが今回の癒し)
    体を捨てて思念だけで蜜子と一郎のそばにいる決意。最後のコマの沙耶の目は
    その覚悟の凄まじさを表しているのか。
    沙耶が蜜子と一郎に心と体の繋がりが一体となった「愛」「夫婦の絆」を実現させたいと願っているのなら、あの行動も理解もできる・・・でも理不尽すぎる。
    2人にとって記憶を失くさなくては耐えられないでしょうが、一郎は当然として蜜子にもこのままでは済まない修羅場が待っているかと思うと辛い!でも過去編が明らかになって、新展開がますます気になります!

  • #5

    ひとかけら (水曜日, 14 2月 2024 19:43)

    今回もハラハラドキドキの展開になりました。
    それにしても生い立ちが複雑な人間が多いとはいえ皆普通の職業についてる人間なのに狂気が満載でキャラが立っている所に小林先生の凄さを感じます。
    一郎が冒頭で蜜子に言っていたセリフは女性なら大概がドン引きする内容なのに受け入れられているのが面白い。一郎は男の本質をついていて正直で軽く更に美男子なんて危険さ最高潮で逝ってる人間だと思います。
    沙耶も蜜子と一郎の絆を絶対にするために本当に命を賭けているのが凄いです。しかし沙耶が地下鉄に飛び込んだ時の狂気じみた表情は蜜子と一郎に対する愛憎の念を現してると感じます。
    国家権力を傘に私的な恨みを晴らそうとしてる真黒も狂気の塊ですね。
    普通に職業を持ってる一般人たちにも劇的でスリリングに描き切るのは流石だなと思います。

  • #4

    コバティ (水曜日, 14 2月 2024 19:16)

    あのラストを先生が描くとは…。
    作品へのただならぬ思い入れと覚悟を感じます。

    沙耶の究極…かすかに予感はしていたけれど、それでも苦しい。悲しい。納得したくない思いが溢れ出す。

    読後、じんじんして止まない頭の中で、なぜか迫るように浮かんでくるのが『卑怯者の島』の矢我兄弟。 

    蜜子は、すでに怒涛の愛を掴んでいた。


    合掌。。。

  • #3

    あしたのジョージ (水曜日, 14 2月 2024 18:04)

    一郎は沙耶の肉体に溺れて我を忘れてしまって、沙耶はそんな一郎に父親のおぞましい姿とだぶって見ているような感じで、蜜子の一郎への一途な愛情を成就させてやりたい気持ちと父親への復讐心のような気持ちとが入り混じったような感じで、自分の命を捧げる事によってそれが完結するように仕向けたのかなぁと思いました。
    一郎はある意味生きている間、無限地獄のような感じなのかなぁと思いました。
    間違った解釈かもしれませんが。
    次の展開が楽しみです。

  • #2

    やん (水曜日, 14 2月 2024 17:29)

    今まで謎だった沙耶が霊(?)になった理由がだんだん明らかになってきて、ますます目が離せなくなりました。次回も楽しみ!

  • #1

    リカオン (火曜日, 13 2月 2024 23:11)

    ええ〜〜!?まいこさんの感想読んだだけで恐ろしい事がどえりゃあ伝わって来る〜〜。
    まだ入手しとらんのに〜〜。
    早く夫婦の絆が読みた〜〜い。

    明日コンビニに置いてあるかな?