【映画感想】黒澤明の『生きる』

 

投稿者:カレーせんべい

  

「黒澤明の『生きる』を見た方が良いよ。」

 

えみりんからそう言われたので、Amazonのプライムビデオで初めてレンタルをして見ました。

 

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見てよかった。いや、今、見て良かった。

 

深く感動した。

 

『生きる』については、よしりんは、ひろゆきとの「修身論」をテーマにした対談でも触れられていました。

 

そして【新戦争論1】の中で最も感動的な章である第22章でも取り上げられていました。

 

(出典:戦争論1 第22章 『嫌韓本、自己啓発本、「力」本』 )

 

 

以下、私の映画の感想です。

 

主人公はかつての情熱を忘れた無気力で、口下手で、いざという時に取り乱すような「弱い男」でしたが、不幸をキッカケにして考え始め、そして覚悟を決め、とても「強く生きる」ことができたことに感動しました。

 

自分が末期の胃癌で半年の命と分かってからは、貯金を下ろして、飲めない酒を飲み、慣れない女遊びをするも、どこか満たされない。

 

「我が子」という存在にすがることもできない。

 

そんなときに、若く、笑顔が可愛く、そして活気にあふれる元部下の女性と交流します。

 

 

↓すごく好きな場面↓

主人公が「笑った」から。

 

しかしその後も、つきまとうように絡んでこられたことに辟易する彼女に対して、主人公は自分の余命が短いことを告白しました。

 

さらに、自分の悩みを、不安を、弱さを、無様なかたちで発露します。

 

 

困った彼女は「なにか作ってみたら」とアドバイスします。

 

それがキッカケとなって、主人公は、「等身大の自分が、現場の中でやれる、最大の仕事をやり遂げる」わけです。

 

それが、市民から要望が出ていた「公園作り」でした。

 

硬直化した縦割り組織の中、ただの公務員が公園を作ることは、まさに命がけでした。

 

利権がからんだヤクザから脅しをかけられたシーンがありましたが、主人公の「目」を見て、ヤクザが引いていくシーンがとても印象的でした。

 

 

静かに命をはる男の目は美しかった。

 

 

 

そして主人公は死にました。その葬式の席で話題になったのは、

 

【公園は誰が作ったのか?】 

 

その功績を巡って、周囲の人間は、手前勝手なことばかり言ってました。

 

あろうことか、その功績を横取りしたり(怒)

 

 

だけど、市民にはきちんと伝わっていたことが、お焼香の場面で分かって救われました。

 

ただ、主人公にとっては「名誉」なんてどうでも良かったのだと確信します。

 

自分が生きた証を残す。自分がやれる範囲、しかし最大限の何かを作る。

 

それが「公園を作ること」でした

 

 

私はずっと泣かずに映画を見ていたのですが、最後の最後、子供たちが主人公が作った公園で遊んでいる場面を見た時、涙が止まらなかったです。

 

 

とても、いい映画でした。感動した。

 

 

最後に。

 

主人公の生き様に感動し、これから心を入れ替えて仕事をすると誓った同僚の役人たちは、葬式の後、あっというまに「惰性の日常」に戻りました。

 

 

さぁ、私はどっちだ?

 

 

 

 


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コメント: 12
  • #12

    リバチー (金曜日, 12 1月 2024 05:50)

    カレーさんが、こんな投稿をされるから、私も約7年前に撮り溜めていたこの映画を先程、見終わりやっと感想コメントができる様になった。(2時20分も集中して観るのは、ついつい躊躇してこんなに放置してしまっていた。観るきっかけを与えてくれたカレーさんに感謝です<(_ _)>)
    いや~、やっぱり名作でした。色んな観点から考えさせられる所が、その所以だなと思いました。見る度に感想が変わっていく映画だなと思っています。
    ストーリーもさることながら、僕としては戦争から遠くない時期(昭和27年放映)の昔の日本の風景や風俗が、時代を超えて観れたのが興味深かったです。昔の映画だから古くさい感じかな~と勝手にイメージしていたが、ところがどっこい私が思っていた以上に売れない小説家のデカダン的な姿や踊り子等の女性の服装や昭和の町並みなどが格好良くて、結構キレイにまとまっていて、そこに新鮮さを感じた。小説なんかで昭和初期の事は知っていたが、動く映像で観れたのはちょっと感動でもあった。
    映画として、最近のハリウッド映画なんかを普通に観ている私としては、やけに淡々とストーリーが展開していく所が現実っぽく感じられてグッドだった。最近の普通の映画なら、もっと監督が注目してほしいシーンで主人公の顔のアップとか音楽で感情を煽るみたいな演出が多いのだが、それが余り見受けられなかったのが好感を持てた。(単に昔の映画だから、その手法がまだ開発されていないだけかも知れないが・・・)
    あと、主人公が自分の仕事を邁進すると決めてから、次のシーンですぐに主人公の葬式に変わる構成が、名匠黒沢明ここにありって感じを受けた。凡百な監督なら、生まれ変わった主人公の奮闘シーンをずっと描いていく事になると思うが、そこが黒沢監督の凄い所だな~。おまけに主人公の公園を作る過程をストーリー的な流れで説明するのではなく、葬式に参列した役所の人間らに主人公に関わった回想シーンを話させる事で映画の観客に知らせていく手法は、なかなかできる事ではないと思った。
    それにしても葬式での役所関係者の話が役所の悪い所のオンパレードだったから、黒沢監督は暗に役所批判もしていた様に感じた。(この映画では、そう感じれるシーンがちょこちょこ出てくるんだよな~。私も役所に対する想いは共感できるが・・・)
    で、このコメントを書きながらつい考えてしまう事は、自分自身はこれからどう生きるか?という問いについての答えである。私もいつの間にか50歳といういわゆる“天命を知る”という年齢になってしまったが、未だ天命を知るどころか最近本気で探し始めだしたという感じである。
    人生の意義がわからずに仕事にプライベートに内心フラフラしていたアラフィフに比べたら、最近になってやりたい事が自分なりに見えてきたから、今はそれに向かって邁進している最中だ。とはいえもう立派なオジサン。自分の寿命を平均的な80歳と勝手に想定すると健康寿命が70歳過ぎだから、私の実質の活動時間はあと20年ほどという計算となる。もうこの歳になると周りの目が全然気にならなくなり、(以前もそうだったがより)好き勝手に生きていこうと決意して、ささやかながら実行している訳だが、まだまだこんな活動では不十分だという想いでいっぱいである。自分の人生の充実にこのゴー宣ファンとしての活動もあるし、プライベートの充実ももっと上を目指していきたい。
    もっともっと前向きに驀進していこうという決意に至った映画感想になったな~

  • #11

    まいこ (金曜日, 12 1月 2024 00:12)

    NHKで8日に放送があるとのことで予約録画していたものを本日、鑑賞しました。
    「何か作ってみたら?」との言葉で、主人公が視界が開けたような表情で飛び出してゆくときに合唱される「HAPPY BIRTHDAY TO YOU」が印象的です。死を前にして生きる証を求める「私」から発した動機が、「等身大の自分が、自分の現場の中でやれる最大の仕事」という「個」を発現させ、「市民の要望だった公園を作ること」で「公」に結びつくような、「人生の意味」に気づいたときが本当に生まれた日、ということなのかもしれません。命短くも本当に生まれた日を迎えることができた主人公は、「ほんとうのさいわい」を得たのでしょう。

  • #10

    トマト (水曜日, 10 1月 2024 06:38)

    カレーせんべいさんの感想文を読んで、俄然見たくなりました。
    今週末、借りてこよう!ご紹介、ありがとうございます!

    とはいえ、先週末に借りてきた「八つ墓村」がまだ見れていない。
    このまままま返却期限を迎えそう(^^;)

  • #9

    椿 四十郎 (火曜日, 09 1月 2024 15:22)

    黒澤明の「生きる」は日本映画史に残る名作ですよね!
    ラストの雪降るゴンドラのシーンも好きですが、私的には“ハッピーバースデイ"のシーンが一番好きです。「生きる」を皆さん御覧になられたのなら、次はぜひ「生きものの記録」を観てほしいですね。この作品は「生きる」とは対象的に暗く見終わった後、とても前向きな気持ちにはなり得ません。ですが、扱っているテーマが、ブラジルへの移住問題や水爆実験への警鐘等、今公開中の「ゴジラ-1」にも繋がるテーマが含まれています。ラストの主人公三船敏郎が病室で発狂するシーンは何度観ても背筋が凍ります!圧巻の一言!宜しければこの機会にぜひ御覧になって下さい。

  • #8

    よしを。 (火曜日, 09 1月 2024 12:01)

    たけし社長、お久しぶりです!博の結婚式の、あの感動の沈黙シーンは最高ですよね。8作「寅次郎恋歌」で家庭の有難さ、22作「噂の寅次郎」(34作じゃないです笑)では、人生の儚さを寅さんに教えて、それをすぐ寅さんが真似て語りたがるけど、周りに理解してもらえない場面が笑えて好きです。「生きる」は、全ての公務員に見てほしい映画だと思います!!

  • #7

    たけし (火曜日, 09 1月 2024 09:26)

    志村喬と言えば、何と言っても、「男はつらいよ」博の親父役。寅好きの僕は、1作で映画史上に残る20秒を超える沈黙シーン、8作で「りんどうの花」の話しを寅に聞かせる場面、34作で「今昔物語」を寅に教えるシーンが大好きで、繰り返し観ました。その影響で「生きる」も観ましたが、いい映画ですよね。あと、新人刑事の三船敏郎と先輩刑事の志村喬の「野良犬」は面白かったです。これも黒澤映画だったような。。相変わらず寅の話ばかりで失礼しました。

  • #6

    タロー.G (火曜日, 09 1月 2024 05:25)

    この映画を見たのは、SAPIOで常連執筆陣だった落合信彦氏が自著でこの映画を絶賛したのがきっかけです。志村喬のセリフがボソボソで良く聞き取れなかったのですが、彼が涙を流しながら「ゴンドラの唄」を歌っているシーンは涙なしでは見られません。
    去年、イギリス映画でこれをリメイクしたのを見たのですが、まあそれなりに見応えありましたが、やはり本作には敵わないですね。

  • #5

    和ナビィ (月曜日, 08 1月 2024 22:53)

    遠い昔(若い頃;)、東京の場末の古い映画館でこの映画を観ました。仰る場面を思い出しました。「命短し 恋せよ乙女・・」ブランコを緩く揺らしながら訥々と、でも沁みるように歌う声、姿も忘れられません。

    >ささやかな市民の要望を覚悟を持って取り組んだ時に、使命感すら満たされたのだと思います。(#2グッビオのオオカミ さん)

    ≪使命≫---命の使い方。今あらゆる所でよく聞く「命を守れー! 命が大事!」。使い方が抜けた生命至上主義ではない、どうやって健やかな自己確認をとるか、お役に立てるか、喜んで頂くことができるか・・・たとえ命が消えようとも。

    (蛇足;)・・・映画を観て来た後、「ゴンドラの唄」や「カチューシャの唄」とかが好きになり、狭いアパートで拙いギター弾きながらよく歌っていました。「命短し恋せよ乙女♪ですって・・・よし、今こそ恋さなくちゃね・・」なんて(^^)>;。

  • #4

    枯れ尾花 (月曜日, 08 1月 2024 22:00)

    今日の昼間、普段は滅多に映画なんか放映しない地上波NHKが、この「生きる」をやってたんですよね。なんでやろ?成人式を迎える若者達に対するエールのつもりか?
    しかし、この映画のテーマはカレーさんが仰っているように自分の生きた証を残す、そして私はその為に自分の命を手段として使いきるというように理解していたのだが。「命を大切に」をことあるごとに喧伝しているNHKさんだが、先日の「どうする家康」の最終話で北川さん演じる茶々の最後のセリフと云い、なんか同局の職員さんの中にはサヨクでない人もいて、時々番組使ってこの国を憂える同胞に訴えているんじゃないか?などと空想していました。

  • #3

    あしたのジョージ (月曜日, 08 1月 2024 21:38)

    今日NHKで初めて見ました。
    前から見たいと思っていました。
    凄く良かったです。
    主人公が不治の病になってから生きがいを見つけていく素晴らしい映画だと思います。
    主人公が忘れていた生きる喜びを段々と見つけていく表情の変化がとても良かったです。
    飲み屋で売れない小説家と出会い、夜の街に繰り出すところや会社の若い女の子と話しているところやデートしているところなど凄く良かったです。
    自分が作った公園でブランコに乗って歌っているシーンは有名ですが、初めてちゃんと見ましたが、そういう繋がりだった事がわかりました。
    志村喬さんはいい俳優さんだなぁと改めて思いました。

  • #2

    グッビオのオオカミ (月曜日, 08 1月 2024 21:12)

    私も見たなあ、その映画。
    残された人生、自分は何が出来るのか?
    いや。誰だって、いつかは死ぬのです。
    日常のルーティンワークの中で死を忘れて、生きる事が「惰性」になってしまう。
    しかし、人が本当に生きるとはどういう事か。
    小林先生がコロナ論で、無責任な煽り報道の情報災害のせいで、焼身自殺に追い込まれたトンカツ屋の主人の自死に怒りを表明しておられましたが、結局は生活と仕事の"実存"の話だと思います。
    「生きる」の主人公は天下国家に何か大事業をした訳ではありません。
    しかし、ささやかな市民の要望を覚悟を持って取り組んだ時に、使命感すら満たされたのだと思います。
    思えば、これもまた'私"と"公"なのかも知れません。

  • #1

    ひとかけら (月曜日, 08 1月 2024 20:28)

    男が生きた証を残そうと最大限の努力をしたら悔いは無いですよね。
    しかし惰性の日常を送らなければならないのも真実です。毎日が劇的というのはなくて、平凡な日常を生きて、戦うべき時は戦うのが大事だと思います。