「夫婦の絆」第8話の感想

 

投稿者:まいこさん

  

「私のカラダの隅々までを知っているいっちゃんが、蜜子のカラダで衝撃を受けたらどうなるの?」という沙耶の台詞の経緯が詳らかとなった第8話、偽善をとことん抉り出す描写に心揺さぶられました。

 

「人は人を殺す権利があるってこと!ましてや女を愚弄する悪人ならね!!」

 

兄を殺された真黒無造への、倫理を飛び越えた登場人物の台詞としても、相当に過激に聴こえる蜜子の言葉は、リアルな社会で、実にさまざまな形で行われていること。

 

 

第8話と同日に発表された『日本人論』のラストでも

「1年に12万人以上堕胎している日本人が『子供の人権』は至上のものだとよく言うよ。

これ以上の『偽善』はこの宇宙にあるまい!

『偽善』こそが真の悪である」

 

と宣言された先生が造形する蜜子は、徹底的に「偽善」を暴き、厭う役割を心身共に担わされているようです。 

 

獣そのものの父親から沙耶を救い出し、

母親にも引導を渡した「偽善」を厭う蜜子は、

一郎から向けられた「カラダ」への好奇心にさえ「愛は要る!」と叫ぶのですが、

シェアハウスではないセクシャルな関係が前提の三人同棲にも、

心身一如を求める潔癖さは、

かえって悲劇を招くことになるのでしょうか。

 

 

蜜子によって救い出された沙耶は、

三人同棲に懐疑的なところから承諾した経緯もあって

強いイニシアティブを持ち、

彼女の意向如何で、

この生活形態はいつでも解消できることが明らかに。

 

 

初心な蜜子の心象も手に取るように分かるのは、

接待を生業とした適性のみならず、

おそらくは父親とのおぞましいやり取りのなかで培ってしまった感覚で、

自己を守るための心身の乖離と一致を自由に飛び交える能力は、

一郎との新たな関係によって

再び呼び覚まされてしまうのかもしれません。 

 

 

「一郎の口の軽さは純情な女には猛毒になってしまう」と沙耶にジャッジされた三人同棲を提案した男は、今回、半年に渡ってアプローチし続けた成果を手に入れました。

 

 

第5話で工藤漫殊から「私の親友が一郎さんに遊ばれて、捨てられて大変だった。」とも評されているのは、常に惚れっぽさを発揮していたことを伺わせ、入院するほどの怪我を負うような後先を考えない一途さによっても、結局は絶世の美女にさえ彼の毒がまわってしまうことに。


口が軽いのと同時にパーソナルスペースも、

ほぼ無いように見える一郎は、

沙耶のみならず蜜子にも強烈に惹かれてしまっている。

 

記憶を失くしていたとしても、

生来の心の傾向、関心を向ける範囲はそれほど変わらないはずで、

沙耶なき後も蜜子との生活が成立しているのは、

彼女への愛が彼のなかでは偽善ではない真実だから?


 

自分にも愛する者にも偽善ではなく真実を求める蜜子と、悪気のない罪を犯す悪人と言えそうな一郎の夫婦の絆は、どのように築かれてゆくのでしょう。

 

今後も目が離せそうにありません。 

 

 

(管理人カレーせんべいのコメント) 

 

まいこさんの感想&考察がすごすぎる!!

 

私なんか、今回の「夫婦の絆」を読んで、

 

『姉妹と同棲か。へけけ。夢があるよなぁ。』などと思っていました!

 

同じ作品を読んでも、こうまで落差があるとは・・・。

 

みなさまの感想もおしえてください\(^o^)/

 

 

 

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コメント: 8
  • #8

    おおみや (土曜日, 25 11月 2023 13:27)

    実生活において中央制御(=それが本体なるものであるかどうかは敢えて自ら問わない)をしっかりと意識し様々な仮面的なものを用意して自由に出し入れする、そんな日々ですので(勿論これ程の濃淡な人生ではありませんが)そこでの自らの心理反応を中心とした類似場面と重なってい部分が多いこの連載、何度も読み返して楽しんでおります。
    第8話の警察の制服の描きこみは今後の展開での組織や社会との生存エリア争奪戦?の激化も予感させる迫力を感じました。

  • #7

    ひとかけら (土曜日, 25 11月 2023 06:51)

    神話からの曰く付きの話を聴くとワクワクしてきます。蜜子と沙耶は一心同体という展開なのか諍いを境に離れてしまうのか気になります。
    話は変わりますが、択捉島に紗耶という地域があるそうで沙耶との類似性を感じます。北方領土、ロシア、レイプ、沙耶、関係が有るのかな。

  • #6

    リカオン (土曜日, 25 11月 2023 01:54)

    馬壁先生というキャラクターもクセがありますね。竹村健一そっくりで、ファッションセンスが下田景樹?毒舌の自覚のない奥様にもまたお会いしたいです。

    さらに工藤漫珠がもっともっと気になる存在。ヤバイ展開が待っている予感。

    激ヤバな展開しかあり得ないのに、期待して待っている自分は何なんでしょう。人間って不幸とそれを跳ね除けて闘う姿に魅力を感じるから?イヤそんな綺麗事ではなく、案外人が不幸に陥っている状態を見る事を期待してるのではないかと、自分を疑ってしまう。それでも生存本能を全開させて足掻く蜜子を見ると魅了されてしまいます。

  • #5

    リカオン (金曜日, 24 11月 2023 20:55)

    神話との相似性を既に当初からまいこさんは指摘していたのでしたね。途中から色々な方が指摘されていたので失念していました。

    その中でもまいこさんは此花から蜜子(花と蜜かぁなるほど〜)、咲耶から沙耶(なるほどなるほど)、ニニギから野木(一郎が軽すぎて繋がらないwww)を指摘。
    木花咲耶は二人を意味してるとは思いつかなかったなぁ。

  • #4

    まいこ (金曜日, 24 11月 2023 19:26)

    投稿採用とコメントいただきありがとうございます。
    リカオンさん、ひとかけらさん、5/25に採用いただいた「夫婦の絆、1話目、2話目の感想」には以下のように書いていました。
    「平成では美しい津の美津子が、令和では沙耶になったことも気になっています。第二話で、蜜子と沙耶が姉妹であることが明かされたとき、『古事記』の美しい此花開耶姫・コノハナサクヤヒメと醜い岩永姫・イワナガヒメの姉妹を想起しました。此花開耶姫の音や文字や意味のうち、蜜子は此花、沙耶は開耶に対応しているような気もします。此花開耶姫と岩永姫は姉妹一緒に、天孫の邇邇芸命・ニニギノミコトに嫁ぎ、岩永姫だけが醜いという理由で父の元に送り返されるというのも、沙耶と野木一郎・(のぎいちろうという音も、ニニギノミコトに少し似てますね)が関係し、蜜子が未だに純潔であるということに対応しているのかしら…とあれこれ考えるのも愉しいです。」
    第8話まで進んで、沙耶が蜜子を生き返らせたりと、まさに二人は一心同体、いよいよ神話のようになってきましたね。

  • #3

    ひとかけら (金曜日, 24 11月 2023)

    リカオンさんの考察も興味深いです。
    何やら超常現象的な事で蜜子が生き返ったのも気になりますね。よしりん御伽草子で、かぐや姫が矢を受けて面がパカッと割れて絶世の美女が出てきました。正反対の姉妹である蜜子と沙耶が一心同体になるという妄想を抱いています。
    一夫多妻制は複数の妻を愛さなければならないので男としては大変だと思います。一郎は重責を担う器では無いでしょうね。夫婦の絆も姉妹の絆も今後どうなるか楽しみにしたいと思います。

  • #2

    リカオン (金曜日, 24 11月 2023 00:37)

    誰かが教えてくれた。
    この3人の関係はニニギノミコトとイワナガヒメ、コノハナノサクヤヒメと似ると。
    父親の命でニニギに嫁いだ姉妹だが、姉のイワナガヒメは醜いためにニニギに追い出される。しかしイワナガヒメは不老長寿を司る力を持っていたため、ニニギの寿命は限りあるものになったという。
    一方コノハナサクヤヒメは桜の女神で美と儚さの象徴。ニニギは一目惚れだ。

    美と儚さの象徴のコノハナサクヤヒメは沙耶に相応しい。堅固な命の象徴のイワナガヒメは生存本能を蓄え、崖から落ちても生還した蜜子にピッタリだ。

    一見単純な三角関係に見えるこの3人だが、果たして一郎を取り合っているのだろうか?
    沙耶と蜜子の間の秘密を一郎は知らないし、知ったとしても一郎が2人を守り切れるとは思えない。蜜子がいないと沙耶を守る人はいないのだから、この姉妹を引き離す事はできないのではないか?

    この3人の関係を続ける事はできるのだろうか?
    性欲に溺れる一郎と沙耶は蜜子を悲します事になるのでは?蜜子は嫉妬に耐えられるのだろうか?この3人の関係の維持は蜜子にかかっているのだ。むしろ一郎と沙耶で蜜子を取り合っているのではないのか?

    惚れっぽい一郎には、惚れっぽさに潜む危険への自覚が無く節操がない。3人の同棲とは、2人の女性を同時に幸せにしなくてはならないのに、一郎の言葉や態度から責任感はない。ただ自分の食欲と性欲を満たす事しか頭にない。

    一郎がなぜ記憶を失ったのか。沙耶がなぜ自殺をしたのか。工藤漫殊が言っていた悪い悪い一郎さんとは。
    一郎と蜜子が愛を得て夫婦の絆が結ぶ事ができるのか目が離せない。

  • #1

    ひとかけら (木曜日, 23 11月 2023 13:19)

    まいこさんの分析と考察凄いです。
    私とは感性と言うか読み方が違いますが参考になります。真黒無造は蜜子と沙耶が共謀して犯罪を犯したと考えているが証拠が無い。何時かは証拠を見つけ出し蜜子と沙耶を法廷に立たせる時が来るのか気がかりです。死体となって発見されたのは親父と愛人なので母親は何処かで生きてるのではないでしょうか。しかしながら、母親の「証言」だけでは証拠には足りないと思います。沙耶が妊娠してたのは親父のせいなのか真黒無造の兄のせいなのか気になります。
    一郎は軽薄で大胆な人物だと感じてます。家庭的で料理上手な蜜子、絶世の美女で体も最高な沙耶の両人とも必要としているのはズルいなと思います。ズルいけどシタタカな生き方だなと同時に男の真実を突いてるのではないでしょうか。
    さて果たして気になったのは沙耶の「不安しかない」というセリフです。私は沙耶が一郎を蜜子に取られてしまうと不安に感じたので言ったのではと思います。
    登場人物は全て悪人で思惑が交錯する中、今後が楽しみです。沙耶が一郎の子供を妊娠したら蜜子は冷静でいられるのかなと思いますね。