≪考察≫ 栗原康氏の「脱憲法宣言」について

 

投稿者:平井 智也さん

 

支配なき共同の生を紡ぐ“脱憲法宣言”

(信濃毎日新聞2024年5月4日)

 

今日付の新聞の「視標」というコーナーに、東京大学非常勤講師の栗原康氏の論稿があり、読んでみました。氏の結論は“脱憲法宣言”だそうです。

 

 

[論稿の要点]

 

◯安倍政権で安保法制が成立し、改憲是非の争点だった9条が骨抜きにされている。

 

◯憲法の条文自体が意味をなさなくなったのかもしれない。

 

◯安全保障でもコロナ禍でも、危機が煽られれば緊急事態・非常事態として例外状態が跋扈する。

 

◯権力者は憲法を失効させ、いかなる法にも拘束されず絶対的権力を振るうことができる。これを立憲主義だけでは止められない。

 

◯“脱構成”・・・権力者を法で縛る前に、権力者がいらないのである。

 

◯義務も制裁もない道徳を共に生きる。“非戦”は権力の脱構成である。憲法は無くても暮らしていける。

 

まず栗原康氏には、こないだの十番勝負で井上達夫氏の説かれた憲法9条の問題点を聞かせてやりたいと思いました。

 

そもそも氏は、憲法は権力を縛るためのものであることを知らないのでしょうか?

 

或いは、「現在の憲法が権力を縛れているか?」についての思考はしたのでしょうか?

 

近代国家において憲法と法は必須で、私たちはその国家社会に生きている事が前提だと私は認識していますが、私の捉え方は間違っているのでしょうか?

 

学歴は素晴らしいのでしょうが、憲法を真剣に捉える事から逃げているのか?はたまた単なるバカなのか?

 

この氏の頭の中がどうなっているのか、非常に不思議です。

 

「争点だった9条が骨抜きにされている」と話していたので、もしかしたら護憲の立場が通用しなくなってきたから、ウルトラC的に「憲法なんかいらん!」とでも言うようになったのでしょうか?

 

もしそうだとしたら、駄々っ子どころではない幼稚さです。

 

これって、護憲派からすらも批判を浴びそうな主張ですね。

 

 

(管理人カレーせんべいのコメント)  

 

思想の一つとして「憲法は要らない」というのは存在するとは思います。

 

現にイギリスなど「不文憲法」の国が世界にはありますしね。

 

 

しかし、問題は「思想の中身」です。

 

『権力者を法で縛る前に、権力者がいらないのである』というのは荒唐無稽です。

 

「権力者がいらない」と言うことは、司法・立法・行政・軍・警察も要らないということですか??

 

そもそも国家の統治機構が”権力”じゃないですか?

 

つまりこれは「無政府主義」の意見です。

 

それは「無政府”状態”の恐ろしさ」を知らない、知ろうともしない人間の空想的意見でしょう。 

 

だから私は「聞く価値が無い」と思いました。


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コメント: 9
  • #9

    グッビオのオオカミ (木曜日, 11 5月 2023 22:10)

    脱憲法宣言にせよ、権力はいらないにせよ、現実離れした結論だと思います。その各個人の善意は私も否定はしませんが、必要な権力だってあるし、権力の暴走を防ぐための憲法なのであって、これらを否定して個人主義的に国家を語って見た所でそれは遊びの論理に過ぎない。

  • #8

    sparky (日曜日, 07 5月 2023 12:30)

    私も#1リカオンさんと同じく、後半には同意できなかった。
    「経済が止まる。誰かが飢える。行政は間に合わない」時に「我知らず手を差し伸べて自分達で助け合う」は十分可能だし、無視された権力側もそれを直ちに咎めることは無いだろうが、それは手が回らない所を補ってくれるからだ。
    「戦争を止めるのだって同じことだ」いや権力側の意向に逆らうのだから、同じではないだろう。非戦を掲げて抗議してわれもわれもと人が続いたところで、それは逮捕拘束鎮圧されておしまい、とは言わないが権力側も簡単には引かないだろう。
    国家権力が確立する以前の原初の社会をイメージしているのかもしれないが、国家権力が厳然と存在する現在「支配なしでは生きていけないというその前提から脱」するのは相当困難で、現実性は乏しいだろう。アナーキズムの研究者にしては権力を甘く見過ぎなのではないか?
    この一週間は実家と赴任地の部屋の掃除と本の整理に明け暮れて、なのに大して進まなかったorz そんな中で栗原氏の「現代暴力論」が出て来たのは「整理も良いが先ず読めや」という誰かさんのお告げかも。女性天皇関係の新書が一段落したら読んでみます。

  • #7

    うねめ (土曜日, 06 5月 2023 20:46)

    権力者が要らない、という発想が現実離れしてて小学生みたいです…。
    神のみによって成り立つ社会なら可能でしょうか(^o^;)
    この前NHKの番組で暴力の人類史というのをやっていましたが、そこで紹介されていた研究によると、権力による支配が生まれる前の社会の方が、暴力による死者が多いそうです。
    権力を否定するのは現実逃避でしかありません。憲法要らない!ではなく憲法をしっかり守れ!という結論に持ってって欲しかったです。

  • #6

    三鷹のやまちゃん (土曜日, 06 5月 2023 19:48)

    あれこれぐるぐる考えた結果、一周回って、小学生が書きそうな幼稚な意見になりました。という印象ですね。
    「権力の脱構築」なんて、ちょっとした権威っぽさを文章にまとわせたりしているのが小狡いですね。
    世の中色んな人がいるから、こんな意見に賛同する人もいるんでしょうね。

    信毎もよくこんな記事載せましたね。
    個人的には見識を疑いたくなる事例の一つです。

  • #5

    輝くような黄色 (土曜日, 06 5月 2023 15:22)

    この栗原という人、アナーキスト(無政府主義者)を名乗って本を何冊か出してますよね、書店で名前を見たことがあります。 
    人間集団がこの方の言うようにまとまることができるのなら、共産主義がことごとく失敗するわけがないですよね…古くさいユートピア幻想の焼き直しとしか思えない。
    アナーキズムって、こんなに生ぬるいものではないと思うのですが…

  • #4

    やなちゃん (土曜日, 06 5月 2023 11:20)

    権力者がいらないって、ぶっとんだ発想ですね。ずっと研究室に籠ってお勉強ばかりして、自分の立場なりに社会を俯瞰する習慣なく大人になったのかと疑いたくなる程脳内がお花畑ですね。非常勤講師とはいえ、学生はどんな風にこの方の講義聞いてるんだろうなぁ。主婦や小学生でも突っ込みどころ満載なご主張です。
    能力学歴立場関係なく、自分なりの思考や視点をもって情勢考える人が優れてると気づかせてくださいました。知性の劣化ってこういうことなんですね。

  • #3

    なのフェイ (土曜日, 06 5月 2023 10:43)

    国家無い所に人権無し。

  • #2

    くぁん (土曜日, 06 5月 2023 02:29)

    カレーさんの言うようにこれはただの「アナーキズム」ですよね。いや〜ビックリしたぁ〜。考えるのが嫌になって、バカになっちゃっただけの人だよね。今の護憲派はどっちかというと、すでに9条は死んでるのに、それを認めたくない思考になってますね(憲法記念日の朝日新聞を読む限り)。冷たくなった死体にカッポレ踊らせて、「ホラ、まだこんなに元気だよ♪」って、ちょっと、ホラーの世界に入ってる(笑)

  • #1

    リカオン (土曜日, 06 5月 2023 00:16)

    前半は事象を説明するところは同意する部分もあったけど、後半どうしてそれが憲法を否定、無政府の発想になるのか理解できない。
    で、政治学専攻??立憲主義に絶望したからか?

    自分を支えてくれた人や物が最初からあるのが当たり前と考えているから、このような発想になるのか?