≪読書感想文≫ 国民主権と天皇制

 

投稿者:ひとかけらさん

  

尾高朝雄(おだか ともお)という、法哲学者が日本国憲法施行から5ヶ月後に出した本です。

 

天皇は国民主権と矛盾しないのかという問いに自分なりに考えて答えを出すためのヒントがあるなと感じました。

 

日本の国体は天皇の統治のみによって成り立っていたのではなく君民一如(くんみんいちにょ)ということを不可欠としていた。

 

明治憲法の第一条、大日本帝国は万世一系の天皇が統治すると書かれています。

 

天皇が日本を支配しているのではなく国民をお知りになって、その大御心は国民の心から離れているわけではないと尾高は主張してますが私も同じです。

 

いわば国民と天皇の相思相愛の関係で持って皇室は維持されていると見ることが出来るでしょう。

 

国民主権と言っても国民が私利私欲に走るのでは無く公の道に沿って行動する事が大事です。

 

日本国全体の利益を目指すのであれば男系男子に固執して旧宮家系国民を本人の希望を聞かずに皇室に入れるのは言語道断と言わざるを得ません。

 

日本国憲法の国民主権とは国民が天皇の事を真剣に考え責任を持って声を挙げていくことにあります。

 

残念ながらP174に尾高が男系男子派だと思わせる記述があります。

 

ですから私はこの人の意見に全面的に賛成するわけではありません。直系長子優先で性別を問わない皇位継承が日本国民としての私の意見です。


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コメント: 5
  • #5

    ひとかけら (木曜日, 04 5月 2023 20:58)

    グッビオのオオカミさん:#4

    返信ありがとうございます。

    国民主権と言っても1人1人の国民に主権を分配するのは不可能だと尾高は小林先生と同じようなことを主張してますね。日本国憲法になり国民主権になったとしても皇室を廃する事は無かったので日本国民の中に理念としての天皇が生きてるということになります。
    理念とは無私無欲の存在である天皇に国民は憧れ尊崇してるといった所でしょうか。そして尾高はノモスという言葉を使い国民も天皇も憲法や法の目指す所には従わなければならないとしています。法の理念とはなるべく多数の日本人が幸福を感じ最低限度の生活を営むためにあります。国民主権では有りますが自ずと憲法にある公共の福祉に規制されるというのは考えさせられますね。

  • #4

    グッビオのオオカミ (木曜日, 04 5月 2023 15:58)

    ひとかけらさんへ
    返信が遅くなりすいません。
    しかし面白い話ですね。つまり、明治憲法を見直す必要を認めつつも、国家の「主権」を「国民主権」とする事を、改めて考察したと言う所でしょうか。
    男性限定の皇位継承に関してはその当時の社会通念で発言してる様な気がします。
    現在の男系固執派とは少し違う気がします。
    男系固執派は「ポジショントーク」の部分もありそうですね。尾高朝雄氏が今、存命ならどう言っているか…というより、順を追って考察すれば、初心者の私ですら何が危機なのかが分かるので、男系への「固執」と「絶対」は、不自然だと思います。
    国民主権を小林先生は最初の「天皇論」で国民主権病と、批判していました。
    尾崎朝雄も、「国民主権」の問題点を当時の段階である程度は危惧していたのでは無いでしょうか?だから改めて世に問うたのだと思います。

  • #3

    ひとかけら (月曜日, 01 5月 2023 09:49)

    すいません切れました。そんな事態になったのは国民が天皇の裁可した法律だから何の批判も加えてはいけないと感じ責任を放棄したから新憲法ではそんなことはあってはならず、国民主権は国民自らが主体的に考え政治に反映させていく努力が必要と言ってます。議会の多数派が国民の意思に背いたら投票によって当選も落選も左右する事ができます。

    それにしても尾高朝雄が現在の皇室の状況つまり次世代が悠仁さまだけになったのを見ていたら何と言ったのでしょう。国民主権だから国民男子が自ら天皇になる事は出来ると主張したのか気になりますが、もう亡くなってるので分かりません。ですが、私は君臣の別を守り現在皇室に居る方々で安定的な皇位継承を実現すべきだと思います。

  • #2

    ひとかけら (月曜日, 01 5月 2023 09:39)

    グッビオのオオカミさん:#1

    新憲法では国民主権を建前に議会制民主主義にして今の所結果は甚だ芳しくないと序文で尾高朝雄は言ってます。だから改めてこの作品を世に問うてみて読者が自由に議論してほしいと書かれてました。

    気になるのは昭和天皇の戦争責任をと言ってる所ですが、明治憲法では天皇は政治家が決めたことを裁可するだけの存在としながらもポツダム宣言を受諾すると決めたのは天皇と主張してます。そんな事態になったのはこく

  • #1

    グッビオのオオカミ (日曜日, 30 4月 2023 17:52)

    なるほど。
    戦後の日本国憲法が制定されて間がない時期に書かれた訳ですね。
    男系の部分は先日の奈良の公論イベントで、時代によって、支配的な学説や有力視されている学説もあり、ある程度変遷する部分もあるのかも知れません。
    でも、どこかで聞いた事がありますね。
    尾高朝雄…。
    しかし、法哲学者が何故、その時期に「国民主権と天皇制」について、執筆したのか。
    その本を書いた動機の方が興味深いですね。