≪読書感想文≫ 「小川さゆり、宗教2世」

 

投稿者:グッビオのオオカミさん

  

 

読書感想文「小川さゆり、宗教2世」

 

2023.3/12に小学館から刊行された「小川さゆり、宗教2世」を読みました。

 

本書は小川さゆりさんの手記です。

 

 

 

小川さゆりさんの日本外国特派員協会での会見場面から話が始まり、小川さんのご両親が合同結婚式で結婚し、自身が「祝福2世」として生まれ育ち、成長と共に教義のフィルターを通してものを見ようとする両親と協会の姿を見、セクハラを受けても真面目に取り合わない協会の姿や、アルバイト代を全部献金してしまいその金のあてとして娘である自分を見る母親の姿などに教義と実態の違いを感じ、脱会します。

 

教会から離れるも他の価値観や生き方を知らず、途方に暮れた小川さんはご主人と出会い、結婚し子を産み、そして7月の山上徹也被告による安倍晋三銃撃事件を受け「小川さゆり」として戦いを決意する経緯が綴られています。

 

「私が正しいと思ってくださるなら、どうかこの団体を解散させてください」(p15)

 

多くの誹謗中傷や卑劣な妨害にさらされながらも、なお統一協会に立ち向かう彼女は一児の母親となり、カルト宗教の被害にあっていたかつての自分の様な子供達が声もあげられずに苦しんでいる、そんな子供達のために、伝えるべき事があると決心を固めます。

 

しかし、かつては第二の自分の居場所であり、熱心に信仰していた統一協会。全国大会で入賞した事もあり、お父さんに褒めてもらった事もありました。

 

小川さんは統一協会に立ち向かいながらも時にその場で生きている人達の事を思い悲しみます。

 

「その人たちの人生を巻き込む権利が自分にあるのか。どうしようもなく激しい葛藤が芽生え、わかり合えないということがこんなにも悔しく、つらく、歯がゆいことなんだと、涙が止まりませんでした。」(p203)

 

しかし、未来の子どもたちや、救われるべきたくさんの人たちのために、勇気を振り絞ります。

 

脱会した小川さんがここまで頑張れる背景にご主人の理解と優しさがあるのだと思います。

 

下記のポストセブンの記事に結婚するに当たり、ご両親と4人で会って食事をする場面があります。

 

お父さんは「聖酒」という統一協会の教義では飲むと血統が転換されると伝えられるお酒をご主人に説明なくこっそりと飲ませようとします。

 

小川さんは途中で気づき、結婚相手をだまそうとする父親に激怒し、なじり、台所から部屋にこもります。

 

ご主人は言います。

「自分はこれを飲んだからといって、騙されたとも思わないし、血が転換されるとも思わないから別に飲んでもいい。でも彼女が同意しないまま飲むことはできません」

…出来た、ご主人や。

 

【元2世信者・小川さゆりさんが明かす“初めて夫を両親に会わせた時”の異常事態 「親は“聖酒”を黙って飲ませようとした」|NEWSポストセブン】

https://www.news-postseven.com/archives/20230307_1847533.html?DETAIL

 

また、小川さんの活動の良き理解者でもあります。

 

小川さんは数々の不思議な出会いと多くの人の助けの中で「被害者救済法」の可決を見ます。

 

巻末の「おわりに」の中で神とは、愛とは、思いを綴ります。自分自身の欠点や間違いの中にも''無条件の愛"を夫や子どもから感じ取りつつ、戦い続ける。

 

小川さゆりさんは強い人だと思います。

しかし、歪んだ教義に家族を染められ、戦う過程で自分自身もまた傷付きます。

統一協会は意図的に脅したり、誹謗中傷をしたり妨害工作をします。

 

私は本書を読み、小川さんをただ強い人とだけ見ずに、傷をさらし顔を出し、心の血を流し戦う小川さんを応援したいとすら思いました。

 

こちらは参考までにどうぞ。

【『小川さゆり、宗教2世』、旧統一教会が崩壊させたひとつの家庭(ニューズウィーク日本版) 】

 

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2023/04/2-479.php


↓(スポンサーリンク)↓



コメント: 6
  • #6

    おてんば (火曜日, 18 4月 2023 00:30)

    小川さんは辛い生い立ちでも、20代で伴走してくれる旦那様に出会えて、安心してこれから子育てをしながら、これまでの心の傷が癒えていくだろうと思います。
    今、小川さんは幸せでも、辛い経験をした分、2世の被害者を救いたい気持ちが沸き上がるのだろうし、救えたらきっと、心の傷は完治に向かうはずです。統一協会は必ず解散させましょう。関係する政治家を質しましょう。
    私も応援してます。

  • #5

    グッビオのオオカミ (月曜日, 17 4月 2023 22:16)

    掲載ありがとうございます!
    小川さゆりさんは統一協会問題を一時的な話題で終わらせたくないという思いから、この本を出したと言います。
    実際、今回の統一地方選挙では争点の一つのはずなのですが、テレビでも報道がめっきり減りました。
    小川さんは自分のためばかりでは無く、それ以上に他の被害者や、子ども達のためにも戦う決意を固めているようです。
    日本で暗躍する統一協会をのさばらせてはいけないと思います。私は小川さゆりさんを応援したいと思います。
    しかし、ご主人は立派な人だなあ。

  • #4

    チコリ (月曜日, 17 4月 2023 12:38)

    統一協会は、即刻、解散させなければならない!

  • #3

    あしたのジョージ (月曜日, 17 4月 2023 07:17)

    小川さゆりさんの本は読んでないですが、テレビで再現ドラマを交えてのドキュメンタリーを見ました。気の毒な人生だったと思いました。ご主人が立派な方です。それが救いだなぁと思いました。統一協会と闘いながらも家族ともども幸せな生活を送って欲しいです。

  • #2

    リカオン (日曜日, 16 4月 2023 23:57)

    この「連帯責任論」は、北朝鮮でも一人不始末をする者がいれば一族郎党、罰を受けるのと全く同じ考えですね。やはりT協会は儒教カルトですね。

    本当にさゆりさんのご主人は素晴らしい方ですね。ご主人の支えでさゆりさんは自分を取り戻し、闘って行けるのですね。

  • #1

    チコリ (日曜日, 16 4月 2023 23:03)

    「わかり合えないということがこんなにも悔しく、つらく」

    統一協会信者は、罪人である自分の感情はサタンそのものと思っているし、万一教義に反する気持ちが湧いてくるとサタンだ!と打ち消し激祈祷したりする、絶対に自分の頭で考えない。
    だから本当に分かり合えない。
    こっちの言ってることはみんなサタンのもの、神様に祈りながら聞いていたりする。
    自分たちだけが神から選ばれてイエスさまのように苦難と迫害の十字架を背負いながら、
    神の願いを果たすための戦士、と思っているから、何言っても全然、入らない。

    聖酒を飲めば血統転換できると言って、なにかの慈善事業のボランティアしています的なことを言って賛同してくれたら署名をしてもらい、最後に嘘をついて聖酒を飲ませる伝道みたいなことを海外でしていたことを不意に思い出しました。
    ウエルチのブドウジュースだったんじゃなかったか?そんなことを本気で真剣にやっていた。
    真面目に信じている、ぶどうジュースで血統転換。

    小川さゆりさんを全力で応援します。